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SATOストーリー #02 予防保守を実現したSOS(SATO Online Services)

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お客さまのダウンタイムをゼロに!サトーの画期的なプリンタ保守システム

EC(電子商取引)が世界で普及し、ショッピングの方法が大きく変わりました。EC業界は年間売上総額が26.7兆アメリカドルを超える※1までに成長していますが、ラベルプリンタがこれを支えているということは見過ごされがちです。EC業界だけでなく、製造業、物流業、その他多くの業界でも、ラベルプリンタは不可欠です。
モノが迷子にならずに目的地に正しく届けられるために、ラベルを印字するプリンタは重要な役割を果たしています。ラベルプリンタは、社会の動きを止めないために大きな責任を負っているのです。

※1United Nations Conference On Trade And Development — Estimates of Global E-Commerce 2019 and Preliminary Assessment Of Covid-19 Impact on Online Retail 2020

SOS(SATO Online Services)は、サトーのラベルプリンタ向けの包括的なリアルタイムIoT保守サービスです。クラウド接続により、プリンタのエラーが起こる前に予兆を検知し、アラートを発信します。
例えば、プラテンローラ—やサーマルヘッドなどの消耗部品の交換時期などが通知されます。もちろん、用紙詰まり、センサーエラー、用紙切れ、リボン切れなどの一般的なエラー通知にも対応しています。

このように、クラウド接続によるデータの収集・分析により、プリンタの安定稼働を実現し、ダウンタイム(稼働停止時間)を最小限まで減らします。SOSは、ラベルプリンタ向けの世界初IoT保守プラットフォームとして2015年にサービスを開始しました。
SATO Techno Lab EuropeのGeneral ManagerであるMats Hedbergに、SOSの誕生秘話や実際の運用について聞きました。

発想の原点

「適切なラベルが発行できないと、現場のオペレーションはスムーズに流れません。ラベルプリンタが不具合を起こすと、お客さまのビジネスプロセス全体に大きな影響が出ます。
つまり、ダウンタイムを最小限にすることが、お客さまの投資対効果を最大限にするための最もシンプルな方法です。」

この考えからSOSが誕生したのだと開発を担当したMatsは語ります。
プリンタを常時自動で見守り、問題を未然に防ぐシステムを作ろうと考えたのです。この予防保守というアイデアは以前からありましたが、これを、クラウドベースの保守プラットフォームにハードウエアを接続して行うというのはまったく新しいチャレンジでした。

その中でも最大の課題だったのがパートナー探しでした。Matsたちが求めていたのは、信頼性の高いIoTプラットフォームを提供でき、サトーの開発チームによる柔軟性と拡張性を兼ね備えたソリューション開発を助けてくれるようなパートナーです。
Matsは、「あと2~3年後なら、GoogleやMicrosoftが提供するプラットフォームを簡単に使うことができたでしょう。その頃には両社はITソリューションの構築に必要な全てのコンポーネントを揃えていたからです。しかし当時は、選択肢は非常に限られていました」と時代に先駆けた開発の苦労を思い返します。
最終的に、お客さまの要望に合わせてさまざまな接続方法に対応できるプラットフォームを選択しました。

2つ目の課題は、IoTクラウドプラットフォームと通信するプリンタエージェントの開発です。これは、最終的にスウェーデンにあるSATO Technology Lab Europeのソフトウエア開発チームとの協力により実現しました。

3つ目の課題は、日本、欧州、アメリカという複数地域で展開するプロジェクトの管理です。
時差はもとより、言語もスキルも経験値も異なるスタッフをまとめて進めることは至難の業でしたが、グローバルでお客さまの期待以上の成果をあげるためには何が必要かについて、知見を合わせることにもなりました。

優位性の確立

SOSのリリースは、大規模な企業・団体のお客さまを数多く有する日本からスタートしました。事業規模が大きいほど、保守や修理の費用も大きくなりますし、オペレーションが寸断された場合の間接費用も甚大になるため、あたかもバーチャルカスタマーエンジニアが常駐するようなSOSの利点を存分に活用していただけるからです。
お客さまのお困りごとを詳細に分析した結果、SOSならば保守や修理の面で多くのベネフィットを提供できること、そしてエンドユーザーにどのような利便性をもたらすかもすぐに分かりました。
例えば、お客さまはバックアップ機を常時保管しておく必要がなくなるので、その費用やスペースを削減できます。事業者としては、ビジネス上必要最小限のものだけを手元に置いておくことが理想であり、SOSならばそれを実現し、総所有コストを下げることができるのです。

SOS対応サトープリンタ

Matsの挑戦はサービスを提供して完了したわけではありません。
「私たちのイノベーションは、常にお客さまの現場から始まります。お困りごとを理解し、お客さまの生の声に耳を傾けることが重要なプロセスの一環です。
サービス提供後の機能アップデート(接続方法の追加など)で、機器の経年劣化が原因となるダウンタイムの問題に対応しました。また、SOSに接続された多数のプリンタの使用データを、サトーのカスタマーエンジニアがスマートデバイスで閲覧できるようになりました。これにより、パーツが摩耗してエラーを起こす前に、事前に交換することが可能となったのです。」

SOSによるプリンタ使用実績表示

ある日本の大手アパレルEC企業様の事例を見れば、SOSの利点がよくお分かりいただけます。
このお客さまは、サトーのラベル自動貼り付け機「タフアーム® LR4NX」で、1年中ラベルを発行されており、1カ月あたりの走行距離は10キロメートル(約5万回の貼り付け)にも及びます。これは稼働を開始した当時のことです。私たちはお客さまの運用に合った、特殊な仕様のラベルもご提案し採用いただいていました。
ところが、ラベルの特殊性と、静電気や湿度といった現場環境が影響し合って、貼り付けエラーが出やすくなってしまったのです。そのためエラーが出ないよう機器を調整するまでの間、安定稼働を支えていたのがSOSでした。

自動貼り付け機の状態を常に見守るSOSは、何らかのエラーが起きると、直ちにサトーのサポートセンターに自動で通知します。特に繁忙期前にログを確認することで、トラブルになりそうな事象を予測し、計画的に保守を行うことで予期せぬダウンタイムを防いでいます。
さらに、エラーが起こらないよう自動貼り付け機を調整する上でも、SOSで収集するエラーの内容や主要パーツの使用状況の情報は役立ちました。

SOSの設定画面

「SOSが実現する前は、修理といえば要請が来てから応対することがほとんどで、予防保守を行う場合でも、サトーのカスタマーエンジニアは、どんな状態であるかの予備知識を持たずに訪問していました。」Matsは、SOSによりサービスの在り方に変化が起きたと言います。
「今では、SOSが常時リアルタイムでプリンタのデータを収集しているので、走行距離、ステータス、エラー、設定などが訪問前に分かります。訪問を事前に計画し、より正確で迅速な予防保守サービスを提供することで、プリンタの安定稼働を実現しています。」

企業理念の実践

SOSのリアルタイム保守サポートで費用対効果を改善できるのは、EC企業だけではありません。製造業でも大きなメリットを発揮しています。
例えば、あるガス検知器メーカー様向けに、大量に扱っているパーツ管理用のラベル発行システムをカスタマイズして提供した際、SOSを無線LAN接続で利用することを提案したところ、検査や修理の時間が大幅に削減されました。日本でSOSを利用しているお客さまに対して行ったアンケートでは、産業用プリンタと自動貼付機器のダウンタイムがそれぞれ86%と83%減少したという結果が出ています。
このダウンタイム減少の成果は、お客さま満足を追求するというサトーの企業理念の実践によるものだとMatsは捉えています。

技術サポートへの電話には手間がかかります

「お客さま自身も気づいていない隠れた問題を見つけることは、誰にとってもやりがいがあるものです。それには時間もかかりますし、洞察力も必要ですが、現場のノウハウを習得できれば、優れたソリューションを提供できます。仮にすぐに必要でなくても、将来の商品の導入計画につながる場合もあります。

ビジネスやテクノロジーがいくら進化しようとも、一番に考えるのはお客さまであることに変わりはありません。長年プリンタの技術分野の仕事をしていますが、サトーはその企業理念を真摯に実践している会社だと思います。地に足のついた現場主義こそ、サトーの価値だと感じています。」

SATO Online Services

IoTで保守管理までフルサポートするサトーの「SOS」。
クラウドを駆使して機器停止を未然に防ぎ、安定稼働を実現します。
現場の「困った」をその場で解決し稼働効率までも可視化することで、現場を止めない、世界初の産業用ラベルプリンタ向けIoTサービスとして2015年にサービスを開始しました。

プロフィール

Mats Hedberg

SATO Techno Lab Europe AB ジェネラルマネージャー

スウェーデンの設計開発部門の責任者。エレクトロニクスおよびコンピューターサイエンス修士号を取得しており、40年近く印刷事業における技術革新に携わっている。(2006年入社)