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位置測位システム「UWB」とは?仕組みや他のシステムとの違いを解説

ヒトやモノがその時点でどこにあるかを測定する技術が、位置測位システム(RTLS:Real Time Location System)です。位置測位は、GPS衛星からの電波を使用するものと、電波が届かない場所で使われるIPS(Indoor Positioning System:屋内位置測位)の2種類に分けられます。
その中でも、IPSで活用されている通信規格の一つがUWB(Ultra Wide Band)です。
ここでは、UWBの概要とそのメリット、UWBを活用したサトーの位置測位システムの導入事例をご紹介します。

1.UWBとは

UWBとは、「超広帯域無線通信技術」を意味し他の規格よりも広い周波数帯の超音波を利用して通信を行う位置測位システムのことです。

元々軍事用途で研究されていた技術ですが、近年は民間での利用も増えてきています。
超音波を発信するスピーカーの設置に電源が必要なことや超音波が届くように障害物を避けなければならないことから設置環境に左右されやすいものの、既存の無線通信から干渉を受けることがありません。これにより、位置測位の誤差は30cm程度と非常に精度が高いことが特徴です。位置測位した対象を端末画面に表示するまでの時間も極めて短く、消費電力も抑えられます。

ただし、高精度の位置測位ができる反面、導入コストは他の位置測位システムに比べると高価になります。導入にあたっては高精度の位置測位が必須なのかを慎重に考慮する必要があります。

2.UWBによる位置測位の仕組み

UWBでは、屋内に設置した複数のアンテナによって、専用タグを取り付けた対象物の位置を測定する仕組みが一般的です。ここでは、UWBで位置測定を行うために使われている仕組みをご紹介します。

ToA

ToA(Time of Arrival)とは、「信号到達時間」を意味します。タグから発信された電波が受信機に到達するまでの時間から距離を算出し位置を測定する仕組みです。

また、複数のアンテナを用いて信号を受信し、到着時間差を比較して位置を算出するTDoA(Time Difference of Arrival)と呼ばれる方法もあります。
各アンテナの時刻を正確に同期させることで、より高精度な位置の測定ができます。

AoA

AoA(Angle of Arrival)とは、「信号到達角度」を意味します。
複数のアンテナが信号を受信した時間の差から角度を求め、位置を測定する仕組みです。
ToAと異なりアンテナ同士の時刻を同期せずに高精度な位置の測定が可能です。

ただし、複数のアンテナが必要になるため、導入コストが高くなりがちな点はデメリットです。

3.位置測位システムを導入するメリット

位置測位システムを導入することによって、具体的にはどのようなメリットを得られるのでしょうか。ここでは、そのメリットについて詳しくご紹介します。

在庫管理を簡略化

位置測位システムを導入し正確な所在管理ができれば、入出庫、在庫管理業務の簡略化が期待できます。広い倉庫内でも在庫を探す時間を大幅に削減可能です。

モノ探しの時間を削減し浮いた時間を別の業務にあてることで、生産性向上やコスト削減、働き方改革の実現にもつながります。

ヒトの動きを可視化

位置測位システムは、モノだけでなくヒトの動きも可視化できます。
例えば、作業中に着用するヘルメットに受信機を取り付けておけば、「いつ・どこで・誰が・何をしているのか」を瞬時に把握できます。

前述のモノに加えてヒトの動きを可視化・把握すれば、作業動線の見直しやライン生産の効率化なども可能です。店舗などの場合は顧客動線の分析によって商品配置の最適化にも役立てられています。

4.UWB以外の位置測位システムの特徴

位置測位システムは、UWB以外にも複数の種類があります。それぞれメリット・デメリットがあるため、用途に応じて使い分けることが重要です。
ここでは、位置測位システムの種類とそれぞれの特徴をご紹介します。

RFID

電波を用いてタグ内のデータを読み取る「RFID」を活用することで、位置測位システムを構築できます。RFIDによって位置の測定を行う場合は、RFIDリーダーの設置位置を読み取ったRFIDタグの位置情報としてひも付けます。

RFIDは電波で通信を行うため、通信範囲内であればタグを視認する必要はありません。対象物が箱の中にある場合も電波を読み取って位置情報を取得することが可能です。
入出荷管理やモノの持ち出し管理など、位置特定に加えて個体の識別や付加情報が必要な場合に適しています。

Quuppa(クッパ)

位置の測定には、Quuppaが使われることもあります。正式名称は「Quuppa Intelligent Locating System」で、フィンランドのQuuppa Oy社の製品です。
Bluetoothの技術を利用しているのが特徴で、受信機(ロケーター)を天井に設置しタグやスマートフォンから発信された電波の入射角から位置を測定します。

測位精度の誤差は最小50cm程度で測位対象が画面に表示されるまでの時間が短いため、モノの正確な位置をリアルタイムに把握できます。

EXBeacon

EXBeaconと呼ばれる受信機によっても位置の測定が可能です。BLE(Bluetooth Low Energy) の信号強度を利用することで位置を測定します。

測位誤差は最小2〜3m程度と、UWBやQuuppaに比べると少し精度が劣りますが、その分導入コストが低く、機器設置の自由度や拡張性に優れています。
高精度な位置測位は求めず、必要な情報がエリア内に対象が存在するかどうかといったレベルであれば、EXBeaconがおすすめです。

5.位置測位システムの導入事例

ここからは、サトーの位置測位システムを導入した事例をご紹介します。

屋内位置測位システムの導入により作業動線を可視化

新晃工業株式会社様は商業施設やオフィスビル、病院、工場などに「最適な空気」を提供する大手業務用空調機器メーカーです。
同社では2007年以降、トヨタ生産方式を採用し生産工程の改善に取り組んできましたが、作業状況を可視化できず生産性向上を実現するに至っていませんでした。
そこで、2017年の組織改編に伴い、サトーの屋内位置測位システムを活用した作業可視化ソリューションの導入に踏み切られました。導入したシステムは以下の2つです。

  • Ubisense RTLS(UWBリアルタイム位置測位システム)
  • RaFLOW®(3D仮想マップ+動線分析ソフトウェア)

導入の結果、現場の業務改善と作業者の意識改革に成功し、作業エリアの滞在率が大幅に向上しました。

【導入前の課題】

  • 作業者ごとの作業時間を正確に把握できない
  • 生産性向上のための改善策が見つからない
  • 作業者のスキルアップが進まない

【導入による効果】

  • 作業動線を可視化し、作業エリア滞在率が65%であることが判明
  • レイアウト変更や動線の改善で作業エリア滞在率を86%まで向上
  • 作業者のスキルアップにより、フレキシブルな人員配置を実現

具体的な事例内容については、以下もご確認ください。

導入事例

6.目的に応じて位置測位システムを使い分けることが重要

位置測位システムには複数の方法があり、それぞれ特徴が異なります。場合によっては、導入したシステムが思いどおりに運用できない可能性もあるでしょう。用途や場所に応じて、最適なシステムを選択することが重要です。

高精度な位置測位が必要な場合は、UWBを検討してみてはいかがでしょうか。位置測位システムの導入に関して多くの実績を持つサトーなら、それぞれの現場の環境や運用に合わせたご提案が可能です。
UWBを含めた位置測位システムの導入をご検討の際は、サトーまでお気軽にご相談ください。

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