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HACCP制度化で飲食店が取り組みたい衛生管理のポイント

2021年6月1日にHACCP(ハサップ)の衛生管理が完全施行されました。HACCPとはHazard Analysis and Critical Control
Point(危害分析重要管理点)の略で、食品の安全を確保するために用いる衛生管理手法のことです。

チェーン展開しているレストランから個人経営の小さな飲食店まで、規模に関わらずHACCPに取り組む必要があります。

ここでは、飲食店がHACCPに取り組む重要性や具体的な取り組み方、課題を解決するためのツールなどをご紹介します。

出典:厚生労働省「HACCP(ハサップ)

1.飲食店がHACCPを行う重要性

HACCPは食品等事業者が食中毒による汚染や異物混入といった危害要因を把握した上で製品の安全性を確保するための衛生管理の手法です。

厚生労働省の発表によると、2022年の食中毒発生総数962件のうち約4割は飲食店で発生しています。飲食店においては、食の安心・安全を確保するためにHACCPの考え方を導入して現場の衛生環境を整えることが重要です。

出典:厚生労働省「4.食中毒統計資料

2.飲食店で行うべき衛生管理

飲食店でHACCPの考え方を取り入れた衛生管理を行う際は、具体的にどのようなことを実施すれば良いのでしょうか。ここでは、飲食店におけるHACCP対応の流れをご紹介します。

衛生管理計画の作成

まずは具体的な管理内容や方法を記したリストが必要です。また衛生管理計画を作成し、従業員に周知する必要もあります。

全従業員が抜け・漏れなく衛生管理に取り組めるように「一般衛生管理」と「重要管理」の2点に分けそれぞれをリスト化・マニュアル化するほか、問題があった場合の対処方法を記載することもポイントです。

計画に基づく衛生管理の実施

計画に従って日々の衛生管理を行います。

こまめに計画書を確認し、変更が必要な場合には計画の検証と見直しが必要です。

記録・保管

衛生管理では、実施した内容を記録・保管することが必須です。
保健所に求められた際に記録を提示できない場合「HACCPに関する取り組みを行っていない」と見なされる恐れがあるため1年程度を目安に保管することをおすすめします。

3.飲食店における一般衛生管理のポイント

衛生管理計画に沿った管理では具体的な管理項目やチェック方法を決めます。

例えば飲食店では「原材料の受け入れ」「冷蔵・冷凍庫の温度」「交差汚染・二次汚染の防止」「従業員の健康管理・衛生的な作業着の着用」の4点を中心に一般衛生管理を行うことが推奨されています。

原材料の受け入れ

安全な料理を提供するには使用する原材料が安全でなければなりません。腐敗していたり包装が破れている場合、または誤った方法で保存されていた場合などは有害な微生物が増殖している恐れがあります。

原材料の納入時には見た目やにおい、保存方法、賞味期限などを確認することがポイントです。冷蔵・冷凍保存が必要な原材料は状態を確認後すぐに冷蔵庫または冷凍庫に移して保管します。保管時には食材の賞味・消費期限を適切に管理することも重要です。

冷蔵・冷凍庫の温度

原材料の温度管理が不十分な場合、微生物の増殖や食品が劣化する可能性があります。そのため、商品ごとに庫内の温度を一定に保って管理することが大切です。また、保存している食材の期限を定期的に確認することも欠かせません。

交差汚染・二次汚染の防止

保管や調理の際に生魚・生肉などからほかの食品に微生物が広がる可能性があります。生魚・生肉はフタ付きの容器に入れてほかの食材と区別し、調理器具は食材ごとに使い分け、都度消毒するなどの対策が必要です。

また飲食店では、微生物に汚染されている可能性が高いトイレも定期的に洗浄・消毒を行う必要があります。清掃の際は専用の作業着に着替えることも汚染を防ぐポイントです。

従業員の健康管理・衛生的な作業着の着用

調理を行う従業員が体調を崩している、手指に傷がある、着用している作業着が汚れているといった場合、食品が汚染されたり異物が混入することが考えられます。

これらを未然に防ぐため始業前後に従業員の体調や作業着の確認を行う必要があります。

調理場に入る際や別の作業に移る際、トイレに行ったタイミングなどで手洗いをしっかり行うことも欠かせません。

4.飲食店における重要管理のポイント

飲食店における「重要管理(食品の調理方法ごとに行う管理)」では温度管理が欠かせません。これは、食品を10~60℃の危険温度帯に放置することによって細菌が増えてしまうことが理由です。ここでは食品の調理方法ごとに重要管理のポイントをご紹介します。

加熱しないもの

サラダや刺身など加熱しない料理は食材に付着している微生物を殺菌できません。そのため、汚染されていない食材を使用することや有害な微生物が増えないように低温で保存することが重要です。

具体的なチェック方法として、冷蔵庫から取り出したら速やかに提供する、冷蔵庫の温度管理を徹底することなどが挙げられます。

加熱するもの

アジフライや焼き鳥など、加熱調理したものを熱いまま提供する場合は中心部までしっかり火を通すことが重要です。ハンバーグやつくねの場合は肉汁が透明になり中心部の色が変わるまで、シチューやスープの場合は湯気が十分に出ていることが確認できるまで加熱する必要があります。

中心部まで十分に加熱された食材の火力や時間、見た目、焼き上がりの触感などを確認しておくことが大切です。

加熱後冷却するもの

料理にかけるソースやポテトサラダなど加熱後に冷却する必要があるものも「加熱するもの」と同じ方法で管理します。冷却の際、10~60℃の温度帯に留まる時間をできるだけ短縮することが重要です。

また粗熱が取れたら小さな容器に小分けにしたり容器ごと冷蔵することで冷却ムラを防ぐなどの対応が必要です。

その他の取り組むべき項目

ここまでにご紹介した方法以外にも飲食店では食品衛生法に基づいた調理基準が決められています。

飲食店ではこれらの基準の遵守が必須です。

  • 鶏卵を使用して調理する場合は70℃で1分間以上加熱する
  • 魚介類を生食用として調理する場合は真水で十分に洗浄する
  • 牛の肝臓や豚の内臓を生食用として提供してはならない など

なお、鶏卵を生食で提供する場合は、賞味期限を確認することはもちろんのこと、提供の直前に冷蔵庫から出すことや割り置きせず、提供する際に都度割卵することなど提供の手順を記載した衛生管理マニュアルを作成することが必要です。

5.HACCPの考え方を取り入れた衛生管理はペーパーレス化がおすすめ

HACCPに基づく衛生管理では継続的なモニタリングや記録が求められます。手書き帳票を使用している場合は、記入ミスや確認漏れなどのヒューマンエラーが起きやすくなります。

ヒューマンエラーを防ぐにはデータ管理デジタル化がおすすめです。紙ベースのデータ管理とは異なり読み間違いや記入ミスなどのリスクが減ります。ペーパーレス化につながるだけでなく保管スペースの確保や管理の手間を削減することも可能です。

サトーのソリューションを店舗の衛生管理にご活用ください。

6.衛生管理システムを導入した企業事例

サトーでは、HACCPの衛生管理を効率化するIoT機器やクラウドを活用したソリューションを提供しています。

システムの導入によりヒューマンエラーの削減と作業の効率化を実現

コンパスグループ・ジャパン様は全国約1,500ヶ所でコントラクトサービス(給食受託)を展開し、安全性・安心性・安定性を基本とした食事の提供をポリシーとしています。同社はHACCPに沿った衛生管理に取り組んでいましたが目視での温度確認や帳票への手書き記録をしていたため、ヒューマンエラーの発生が防げないことが課題でした。

そこで温度の自動計測・入力とクラウド管理による記録の見える化、ペーパーレス化を可能にする「@Form for HACCP」の導入に踏み切りました。デジタル化によりヒューマンエラーを減らし抑制し、工数の圧縮と人的コストの削減を実現しました。

【導入前の課題】

  • 数字の読み違いや帳票(紙)への記入間違いなどの人的ミスが頻発
  • 冷凍庫・冷蔵庫の温度チェック作業のための・人的コストの負荷が甚大
  • 保存しなくてはいけない帳票の量が膨大になり管理業務の工数が増加

【導入による効果】

  • 献立やメニューと連動したタブレットへの自動入力による作業ミスの削減
  • 庫内温度の自動計測による時間や人的コストの削減
  • 帳票のペーパーレス化によるファイリング管理業務を削減

具体的な事例内容については、以下もご確認ください。

7.手引書と現場の状況を照らし合わせて衛生管理を行うことが大切

HACCPに基づく食品衛生管理は、取り扱う食材や調理器具、設備など現場の状況を知ることから始めます。厚生労働省が発表している手引書と現場の状況を照らし合わせて計画を策定して実施するほか、必要に応じて管理業務にツールを活用することも重要です。

サトーでは、データ収集と記録を自動化してHACCPの考え方を取り入れた食品衛生管理業務を支援するソリューションを提供いたします。HACCP導入やシステム化に関するお悩みがある場合はお気軽にサトーへご相談ください。

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