食品ロスは世界的な問題となっています。日本は食品廃棄量が多い国の一つですが、具体的にどのような点が問題なのでしょうか。
本コラムでは、食品ロスの日本の現状や食品ロスに伴い発生する問題、解決に向けた取り組みの例などをご紹介します。
目次
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1.食品ロスとは
食品ロス(フードロス)とは、まだ食べられるにも関わらず生産から消費までの過程で廃棄されてしまう食品のことです。
環境問題、飢餓対策、経済的損失など多くの影響を及ぼすといわれ、UNEP(国連環境計画)が2024年に出した報告によれば、消費者に供給される食料のうち、約19%(約10.5億トン)の食料が廃棄されています。
「持続可能な開発目標(SDGs)」では、2030年までに世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減することが目標として盛り込まれるなど、世界的に食品ロスへの関心が高まっています。
出典:UNEP "Food Waste Index Report 2024"
2.日本の食品ロスの現状
日本は食料自給率が低く多くの食品を輸入に頼っている一方、食品ロスも多く発生しているのが実態です。
2023年度の日本の食品ロス量は464万トン(前年度比-8万トン)で、そのうち、食品関連事業から発生する食品ロス量は231万トン(前年度比-5万トン)、家庭から発生する食品ロス量は233万トン(前年度比-3万トン)にものぼります。
これは、飢餓に苦しむ人たちに向けた食料支援量(2023年:370万トン)よりも多い量です。(国民一人当たり、おにぎり約1個分(約102g)の食べ物を毎日捨てている換算)
2019年に施行された食品ロス削減推進法に基づき、10月は「食品ロス削減月間」、10月30日は「食品ロス削減の日」と定められ、食品ロス削減⽬標達成に向けた施策として、消費者・事業者・地方公共団体が協力して行えるさまざまな取り組みが推進されています。
出典:消費者庁「2023(令和5)年度食品ロス量推計値の公表について」/消費者庁「食品ロスについて知る・学ぶ」
3.食品ロスによって発生する問題
食品ロスは食材が無駄になるだけでなく、地球環境や食料危機にも影響を及ぼします。
そのため、社会全体で解決に向けて努力が必要です。具体的に食品ロスは、以下の問題につながる恐れがあります。
環境の悪化と廃棄コストの増加
食品ロスによって発生する問題の一つが、環境の悪化と廃棄コストの増加です。
食品ロスは、廃棄・処理の段階だけでなく、食品が生産・加工・流通される過程で投入されたエネルギーや資源が無駄になることで、温室効果ガスの増加にもつながります。
消費者庁によれば、食品ロスによる温室効果ガス排出量は1,050万t-CO2に上ります。
また、廃棄された食品は焼却処理されることが多く、処理や運搬、焼却後に残った灰の埋め立てに伴うコストや環境負荷も課題です。
出典:消費者庁「食品ロス削減ガイドブック概要版(令和7年度版)」
人口増加に伴う食料需要のひっ迫と栄養不足リスク
食品ロスが増え続けると、将来的な人口増加に伴う食料不足や栄養不足が深刻化する恐れがあります。
世界の総人口は増加し続けており、2050年には約98億人になると推定されています。
また、既に世界には飢餓で苦しむ人々がいます。
2017年時点で、世界で約8億人以上が栄養不足や飢えに直面していたと推計されています。
将来の人口増加に伴い、食料生産を増やす必要がありますが、食料を生産するための農地や水などの資源が限られていることも課題です。
そのため、食品ロスや廃棄が現在の水準で続くと、将来的な食料不足や栄養不足を深刻化させる可能性があります。
食品ロスの削減は、持続可能な食料供給を実現するために極めて重要です。
出典: United Nations "World population projected to reach 9.8 billion in 2050, and 11.2 billion in 2100"、農林水産省「SDGs、世界の栄養不良改善への貢献を」
4.事業系食品ロスが発生する理由
日本の食品ロスの約半分を占める事業系食品ロスとは、食品関連事業者(食品製造業、食品卸売業、食品小売業、外食産業)から発生する食品ロスを指します。
ここでは、事業系食品ロスの主な発生要因をご紹介します。
生産段階:規格外品の廃棄
生産段階で重量や色、形が規格から外れたり、自然災害などで傷がついた野菜や果物は、販売できずに廃棄されることがあります。
一部は加工食品や訳あり品として販売されていますが、その多くは捨てられているのが実情です。
製造段階:品質基準外品・作りすぎの商品
製造段階で発生する要因の一つは「調理ミス・作りすぎによる廃棄」です。
調理段階で安全上問題がないものの、メーカーとしての品質基準に満たない商品や、消費者の需要以上に生産してしまった余剰商品はロスとなります。
製造段階:原材料の賞味・消費期限切れ
原材料の賞味期限・消費期限管理が適切に行われていないと、先入れ先出しができず、使い切る前に廃棄が発生する恐れがあります。
製造段階:流通側からの返品
パッケージの破損やラベルの印字ミスなどが原因で、商品が返品され、廃棄される場合があります。
流通段階:納品期限・販売期限切れ
食品業界には「3分の1ルール」と呼ばれる商習慣が存在します。
賞味期限切れの商品が店頭に並ぶことのないように、賞味期限の最初の3分の1が経過する前までを納品期限とするルールです。
また、賞味期限の3分の2を過ぎた時点は販売期限として設定されています。
納品できなかった商品や、売れ残った商品は廃棄せざるを得ないことも多く、食品ロスの大きな要因であるといわれています。
出典:消費者庁「食品ロス削減ガイドブック概要版(令和7年度版)」
5.食品ロス削減に向けた取り組み
食品ロスの問題を解決するため、2019年に「食品ロスの削減の推進に関する法律(食品ロス削減推進法)」が施行されました。
2025年には「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」が改定され、食品関連事業者や消費者、行政でさまざまな取り組みが推進されています。
ここでは、取り組みの一部をご紹介します。
商習慣の見直し
食品ロス削減のため、商習慣の見直しが行われています。具体的には、「納品期限の緩和」「大括り表示の推進」などが進められています。
制度の見直しと同時に重要なのが、賞味期限管理を適切かつ効率的に行えるよう改善することです。
以下の記事で詳しくご説明しています。
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賞味期限管理は食品ロス削減につながる!廃棄を防ぐ管理の方法は?
本コラムでは、食品ロス削減のための賞味期限管理の課題や取り組みの例をご紹介しています。
食品を売り切る仕組みづくり
食品の廃棄を減らすためには、賞味期限・消費期限が迫り販売できなくなる前に、売り切ることが重要です。
そのために、スーパーマーケットなどの小売店舗では、需要予測や適切なタイミングでの値引きの仕組み構築、消費者への「てまえどり」啓蒙活動などを行っています。
以下の記事で詳しい内容をご説明しています。
食材の廃棄を減らす取り組み
生鮮食品を販売する小売店や、食材として使用する飲食店では、痛む前に食材を販売・使用できるように管理を行っています。
例えば飲食店で使用する食材は、使用期限を管理して食の安心・安全を守ることを目的としていますが、結果として無駄な廃棄ロスの削減につながります。
以下の記事で詳しくご説明しています。
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日本の食品ロスの現状とその割合は?外食産業における食材の廃棄ロス削減のコツ
本コラムでは、日本における事業系食品ロスの割合と、飲食業界における食材の廃棄ロス削減につながる取り組みをご紹介しています。
6.食品ロス削減には事業者と消費者の協力が必要
食品ロス削減に向けた取り組みは、事業者と消費者が協力して実行することで初めて大きな効果が期待できます。
サトーでは、食品ロス削減につながるソリューションを提供していますので、お気軽にご相談ください。
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