惣菜や弁当などの加工食品において、消費者の健康志向やアレルギー対応への関心が高まる中、「食品表示の正確性」は企業の信用を左右する重要な要素です。近年はアレルゲンや期限表示のルールが厳しくなり、少しの誤表記でも商品回収や信用低下につながるケースが増えています。
一方で、現場では限られた人員と時間の中で多品種の商品を扱うため、入力ミスやラベルの貼り間違いといった人的ミスが発生しやすいのが現状です。
こうした背景から、食品表示のルールを理解するだけでなく、表示ミスを防ぐ仕組みづくりが重要です。
本コラムでは、食品表示の基本ルールから、現場で起こりやすいインシデントの要因、そして表示ミスを防ぐための具体的な対策についてご紹介します。
目次
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1.惣菜を製造・販売する際は食品表示が必須
食品を販売する場合は、食品表示法に基づき、容器包装された食品に対して原材料やアレルゲン、保存方法などを表示する義務があります。
惣菜の主な表示項目は以下のとおりです。
- 名称
- 原材料名
- 原料原産地(原産国名)
- 栄養成分表示
- 添加物
- 内容量
- 消費期限または賞味期限
- 保存方法
- 製造者
- アレルゲン など
内容量は、重量だけでなく1人前や1個といった形で表示することも可能です。
また、外見から内容量を容易に確認できるものは表示を省略しても構いません。ただし、アレルゲンを含む旨の表示と添加物表示については一切省略できません。期限表示は、品質の劣化が早いものに関しては年月日に加えて時間も表示するのが望ましいとされています。
出典:消費者庁「別添 弁当・惣菜に係る表示」
2.【販売方法別】食品表示のポイント
食品表示の義務は、惣菜や弁当を製造・販売する場所によって異なります。飲食店で注文を受けて惣菜や弁当を作る場合は、その場で品質について説明できるため、食品表示の義務はありません。
スーパーなどのバックヤードのように同じ敷地内で製造・販売している場合は、「名称」「添加物」「アレルゲン」「保存方法」「期限表示」「製造者情報」などの安全性に関わる項目は省略できませんが、その他の「原材料名」「内容量」「栄養成分表示」「原産国」などは省略できます。
セントラルキッチンなど別の場所で製造した惣菜を店舗で陳列して販売する場合は、全ての表示が必要です。
3.食品表示法に違反した場合の罰則とリスク
表示すべき事項を表示しなかった場合、または表示基準に従わなかった場合の罰則は、違反の内容によって異なります。食品表示基準に則さない表示をした場合、指導や指示だけでなく、措置命令を受けることもあるため注意が必要です。
表示事項を表示せずまたは遵守事項を遵守しなかった場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、法人には1億円以下の罰金が科されます。
また、原産地(原材料の原産地を含む)の虚偽の表示がされた場合も、2年以下の懲役または200万円以下の罰金、法人には1億円以下の罰金が科されます。
さらに、食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項について、食品表示基準に従った表示をしない場合、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金または併科(2つ以上の刑罰を同時に科す)、法人には1億円以下の罰金が科されます。
こうした罰則を受けることはもちろん、措置命令が出されると社名が公表され、信用失墜につながることも大きなリスクと言えます。
出典:消費者庁「早わかり食品表示ガイド」
4.食品インシデントが発生する要因
惣菜などの食品表示を行う際、以下のミスが発生すると食品インシデントの要因となる可能性があるため、注意が必要です。
ラベルの誤入力や入力漏れ
惣菜そのものに問題がなくても、アレルゲン表示の欠落や消費期限、賞味期限の誤表記など食品表示ラベルに不備がある場合は回収対象となります。
食品表示ラベルは表示内容だけでなくレイアウトも重要で、両方の確認が必要です。
なお、食品表示ラベルを作成する時のポイントは、以下の記事でも紹介しています。
ラベルの貼り間違い
食品表示法に基づく自主回収の主な発生原因として、ラベルの貼り間違いが挙げられています。消費者庁の発表によれば、2021年6月~2025年3月末時点における食品表示法関連の自主回収のうち、約42%がラベルの貼り間違いによるものです。
現場でのラベル発行や貼り付け作業は主に人の手で行われています。多品種の商品を扱うため、属人的な運用に依存するとミスが生じやすくなります。
例えば、商品台帳の目視による確認を行っている場合、ラベル発行時の商品選択を間違えたり、商品の盛り付けとラベル発行場所が異なる場合、対象商品の取り間違いなどが起こります。
ラベルの貼り間違いによってアレルゲンや期限情報の誤記載が生じると、消費者の健康被害や信用低下に直結するため、厳格な運用とチェック体制の構築が不可欠です。
出典:消費者庁「食品表示法に基づく自主回収の届出状況」
5.食品表示のミスを減らす2つの方法
ここでは、ラベルの表示内容の誤りや貼り間違いといった食品インシデントを予防する、代表的な2つの方法をご紹介します。
データ管理の徹底
商品に貼り付けるラベルは、商品情報の変更や関連する法律やガイドラインの改訂などによって、印字内容の変更が必要です。
商品数や店舗数が多いと、このようなラベルデータ(印字データ)の管理が煩雑になります。
作業現場での手作業によるラベル作成では誤った商品情報の入力やレイアウトの誤修正など人的ミスが発生する可能性があります。
ラベルデータを常に最新に保ち人的ミスを減らすには、データの一元管理が有効です。
ラベルデータの管理・配信については、下記で詳しくご紹介しています。
チェック作業の改善
食品表示ラベルの記載ミスや貼り忘れは、企業の信用に直結する重要な問題です。これを防ぐためには、複数回の確認作業が欠かせません。
例えば、1人がラベル内容を読み上げ、もう1人が商品と照合する「読み合わせ」は、人的ミスを減らす有効な方法です。
しかし、2名体制でのチェックは効果的である一方、人手不足という課題があります。現場では限られたスタッフで効率的に作業を進める必要があり、従来の「商品台帳を見ながら確認する方法」では時間と労力がかかります。
こうした状況で人的ミスを防ぐためには、プリンター+ラベル発行ソフトによる対策が有効です。商品画像との照合や、商品名の音声読み上げ機能を使えば、確認作業を大幅に効率化できます。これにより、1名でも正確なラベル発行が可能になり、人手不足の現場でも安心して運用できます。
FLEQV(フレキューブ)FX3-LX Plusは食品表示ラベルの発行に便利なラベル発行ソフトや、クラウドベースのデータ管理サービスとの連携も可能です。
詳細は、以下のページをご覧ください。
6.食品インシデント防止に役立つサトーの「AI画像スキャン値付け」
食品インシデントの発生要因として「ラベルの貼り間違い」が大きな割合を占めています。
「AI画像スキャン値付け」は、AIによる正確な商品特定と音声サポートなどの補助機能でラベルの貼り間違いを防止します。
台座に商品をセットしスキャンボタンを押すだけで、AIが画像を解析して自動で商品データを呼び出します。
また、AIの高度な画像認識技術により、揚げ物などの判別しにくい商品も瞬時に見分けます。
商品特定と同時に音声で商品名を読み上げ、画面上でラベルの印字内容を表示することで、指差し読み上げ確認作業を補助します。ラベルを剥離する際に商品名を読み上げるため、対象の商品を確認しながら貼り付けができます。それにより、商品切り替え時の貼り間違いも防止することが可能です。
詳細は、以下のページをご覧ください。
7.システムを活用して食品インシデントを防ごう
食品表示違反は、商品のリコールや信用低下など企業にとって大きなリスクです。
食品表示違反を防ぐためには、システムを適切に活用するのがおすすめです。
サトーの食品インシデント対策ソリューションは、ラベル印字から検証、管理までを一元化し、人的ミスを大幅に削減します。
また、法令に基づいた適切な表示ラベルを作成することで、現場の効率化と消費者からの信用向上を同時に実現できます。
食品表示違反の防止施策をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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