物流業界では、伝票や帳票などのデータ入力や照合作業に多くの時間を費やしています。これらの人手による確認・入力を必要とする業務を自動化し、業務効率を大きく向上させるのがOCRという技術です。
また、近年はAI(Artificial Intelligence:人工知能)を組み合わせた「AI OCR」により、手書き文字や非定型帳票にも対応できるようになりました。
本コラムでは、OCRの基本原理からAI OCRへの進化、物流現場での活用ポイントや導入時の注意点を解説します。
目次
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1.OCRとは
OCRとは、「Optical Character Recognition」の略で、日本語では「光学文字認識技術」と訳されます。
印刷や手書きの文字情報をカメラやスキャナーで取り込み、テキストデータとしてデジタル化する技術です。画像の解析、レイアウトの解析、文章の解析、文字の認識、テキストデータの取得という流れで処理を行います。
これにより、商品パッケージに印字された賞味期限・消費期限や品番・ロットNo、書類に記載された納品内容などさまざまな文字を、簡単に分析・処理できるデータへ変換できます。
2.物流業界でOCRが注目される背景
物流業界では、伝票や帳票など紙ベースのやり取りが依然として多く、データ入力や照合作業に時間とコストがかかることが課題となっています。
特に、トラックドライバーを中心にした人手不足や時間外労働の上限規制など、新たな対応や業務負担が増える中で、OCRの導入による自動化が注目されています。OCRを導入することで、人手による入力作業を削減し、業務効率と正確性を向上させることができます。
また、デジタル化が加速する中で、競争力を維持し生産性を高めるうえでも、OCRの活用が注目されています。
3.OCRの導入で期待できる効果
OCRの導入によって、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。主なメリットは、大きく分けて次の4つです。
- 生産性の向上
- 人員配置の最適化
- コストの削減
- 保管スペースの節約
生産性の向上
OCRの導入によって、これまで目視で確認していた文字をスキャンするだけで、自動的に文字認識ができるようになります。
認識したテキストデータを活用すれば、目視確認後に記帳やデータ入力を行う必要がなくなり、作業速度と正確性が向上します。
ただし、OCRは万能ではありません。文字の形状が似ている場合や誤字が含まれる場合、また対象物が傾いている場合など、読み取る文字の状態や設置状況によっては誤認識が発生する可能性があります。そのため、精度が100%ではない点に注意が必要です。
人員配置の最適化
OCRを活用して、荷物や製品に記載された文字の確認作業を自動化することで、作業者を他の仕事に割り当てる、人手不足の箇所に配置転換するなど人材を効果的に活用できます。
コストの削減
納品書や請求書といった紙の使用量が減るため、紙代や印刷代などのコスト削減も可能です。
加えて、バーコードや2次元コードにも対応したOCRリーダーを使用すれば、異なる作業を1台で行えるため、設備の統合や運用コストの削減にもつながります。
保管スペースの節約
情報をデータ化することで、物理的な保管スペースを節約できる点もOCRを活用するメリットです。
テキストデータに変換して保存すれば、キーワード検索が可能になり、検索性が向上します。その結果、必要な情報を迅速に見つけられるため、業務効率化にもつながります。
4.従来のOCRと「AI OCR」の違いは?
近年、OCR技術とAIを組み合わせたAI OCRも注目されています。従来のOCRは単純な文字認識が中心でしたが、AI OCRは機械学習により癖字や書式の違い、文脈も認識します。
従来のOCRは文字判別の基礎になる情報を蓄積し、読み取った情報と組み合わせることで文字を識別する仕組みです。そのため、カタカナの「エ」と漢字の「工」のように形が似ている文字や、個人差が出やすい手書きの文字などを高精度に認識するのが困難でした。
一方AI OCRは、OCRにAI技術を組み合わせることで、形の似た文字や手書きの文字でも正確な文字認識を行うことが可能です。オリジナル帳票や手書きの書類にもより高精度で対応できるため、決まったフォーマットのない書類を読み取りたい場合は、AI OCRの利用が有効です。
さらに近年では、生成AIを組み合わせたOCR技術も登場しています。
メーカーごとに書式や項目名が異なる原材料表示の場合でも、生成AIを活用すれば、該当の項目を自動で判別・抽出・整理することが可能です。
5.物流業界におけるOCRの活用例
OCRの活用により、物流業界における業務の課題を解決することが可能です。入荷検品や出荷確認などの工程では、従来の目視による確認作業に時間と労力がかかり、取り扱う商品の数量が増えるほど作業効率が低下します。
また、読み間違いや記載間違いといった人的ミスにつながる恐れもあります。
OCRを導入することで、ラベルや伝票の文字情報を瞬時にデジタル化でき、1点あたりの読み取り時間を大幅に短縮できます。
これにより、作業スピードの向上と人的ミスの防止が可能になり、正確性や生産性を高めることができます。
倉庫に到着した商品ラベルから商品名やロットNo.をOCRで読み取り、照合することで入荷検品にかかる時間を短縮できます。
出荷伝票と現品票の照合作業においても、OCRを導入すれば検品作業を効率化でき、出荷工程全体のスピード向上が期待できます。
段ボール単位で外装箱や個装に表示された品番や賞味期限といった商品情報を読み取ることも可能であり、ピッキング後の検品や積み込み前の確認作業を効率化し、誤出荷防止にもつながります。
加えて、学習機能を備えたAI OCRを用いれば、従来のOCRでは読み取りが難しかった刻印や手書き帳票の文字情報の読み取りにも対応できます。
文字の濃淡や背景の影響を受けやすい航空貨物の現場で使用されるラベルや、鉄鋼・非鉄金属製品に刻印された文字の読み取りも可能です。
このようにOCRは、入荷・出荷・検品などの現場作業や品質管理といった物流現場全体の業務効率と正確性の向上につながります。
6.サトーのOCRを活用したソリューションで物流業務を効率化
サトーでは、OCRを活用し、入荷検品やラベル発行などの物流業務を効率化する仕組みをご提案しています。
ここでは、代表的なソリューションを2つご紹介します。
ウェアラブル型ボイスナビゲーションソリューション「VoiSol® Smart」
「VoiSol® Smart」は、入荷検品やピッキング・仕分けの工程を、OCR(文字認識)技術や音声ガイダンスで効率化するナビゲーションシステムです。
JANコードや賞味期限・現品票(製造ロット)のデータ入力をOCR読み取りで自動化し、転記などの作業負担を軽減します。
「VoiSol® Smart」の詳細は、以下をご参照ください。
ハンディターミナルと連携したラベル発行
サトーでは、物流業務を効率化するためにハンディターミナルと連携したラベルプリンターをご提案しています。
OCR/AI OCR機能のついたハンディターミナルを使えば、ロットNo.を読み取りラベルプリンターで発行することも可能です。
サトーでは、幅広い対応機種を取り扱っています。詳細はお気軽にお問い合わせください。
7.OCRを活用して入力・確認業務の負担を軽減しよう
OCRを活用することで、荷物や製品の文字情報を目視で確認し、入力する作業を効率化できます。これにより、作業時間の短縮や読み間違いによる入力ミスの低減が期待でき、業務の効率化と品質向上の両立を図れます。
一方で、OCRの文字認識精度は100%ではありません。そのため、導入にあたっては利用シーンや必要な精度を明確にしたうえで、費用対効果を考慮したシステム選定が重要となります。
サトーでは、現場に合わせてさまざまなソリューションをご提案します。文字情報の確認や入力作業に課題を感じている方は、お気軽にご相談ください。
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