
業務用ラベルプリンター(以下ラベルプリンターと記載します)は、食品や化粧品などの内容・成分表示、物流用荷札など、さまざまな分野のラベル発行に活用されています。
ラベルプリンターを選定する際の大切なポイントは、導入で期待できる効果や機種ごとの特徴などを確認しておくことです。
本コラムでは、ラベルプリンターの印字方式の違いや選び方のポイント、おすすめのラベルプリンターをご紹介します。
目次
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1.ラベルプリンターとは

ラベルプリンターとは、ラベルやタグに文字、バーコード、2次元コードなどを印字する機器で、バーコードプリンターとも呼ばれます。
食品表示ラベルや製造情報ラベル、商品の値札・タグなど、さまざまなシーンや現場で活用されています。
ラベルの作成には、ラベルライターや複合機が使用される場合もあります。これらの機器は、テープやシール用紙に文字を印刷し、事務用品や備品の整理をする際に貼り付けるシールなどの発行に使用されます。
ラベルライターや複合機などと比較したラベルプリンターの最大の特徴は、業務上のさまざまな用途に対応できる幅広い種類のラベルを発行できることです。
小売店では商品の値札ラベルや内容表示ラベル、工場では原材料や機器管理などに使用するラベル、さらに医療の現場では入院患者のリストバンドからアンプル瓶や点滴バッグなど多種多様な用途に適した耐性・機能を持ったラベルを発行できます。
2.ラベルプリンターでラベルを発行するメリット

ラベルプリンターでラベルを発行するメリットは以下の通りです。
- 高い印字品質
- さまざまな種類のラベルに対応
- 周辺機器との連携で手作業を削減
- 必要なタイミングにその場でラベルを作成・発行
- 現場のオペレーションに応じた発行方法を選択
高い印字品質
ラベルプリンターを利用すれば、極小文字やバーコード、2次元コードも高品質で印字が可能です。印字の擦れ・欠けを抑えることで、文字の視認性の向上やバーコード、2次元コードの読み取りエラーの削減ができ、業務の効率化や正確性向上につながる点がメリットです。
さまざまな種類のラベルに対応
ラベルプリンターは、ラベルの使用環境によっては必要となる特定の耐性(例:温度、水分、紫外線など)を持つ耐性ラベルなど、特殊な材質で作られたラベルにも印字することが可能です。紙やフィルムなどの多様な素材をはじめ、円形、長方形などの異なるサイズや形状にも対応しており、用途に応じた最適なラベルを発行できます。
周辺機器との連携で手作業を削減
機種によっては、計量器やスキャナーなどの周辺機器とラベルプリンターを直接接続し、周辺機器のデータを管理しながら、そのデータをラベル発行に直接反映できます。これにより、ラベルの発行作業から貼り付け作業までの効率化につながります。
必要なタイミングにその場でラベルを作成・発行
ラベルプリンターを利用すれば、必要なときに必要なラベルをその場で発行できます。ラベル作成を外注したり、在庫を大量に抱えたりする必要がないため、ラベル貼り付け作業を効率化しつつ、在庫管理の工数削減と、コスト削減につながります。
現場のオペレーションに応じた発行方法を選択
周辺機器や上位システムと連携したラベル発行や、指定した枚数でラベルをカットする機能など、現場に合わせて柔軟に発行方法を選べる点もメリットです。
これらのメリットにより、業種ごとに求められるさまざまな仕様や運用に応じたラベル発行が可能となります。
例えば食品業界で使用される「食品表示ラベル」では、ガイドラインの改正や多様な商品への貼り付けに対応する必要があります。また、製造業界では過酷な環境下でのラベル発行やラベル使用に耐えられる機器選定・運用が重要です。
ラベルプリンターを活用することで、用途に合わせた柔軟性を持ちながら、効率的で高品質なラベル発行が可能となります。
食品表示ラベルの発行や工場でのラベル発行に適したラベルプリンターの選び方の詳細は、以下の記事で詳しくご紹介しています。
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食品表示ラベルに適したラベルプリンターはどう選ぶ?失敗しない導入のポイント
本コラムでは、食品表示ラベルに適したラベルプリンターについてご紹介しています。
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ラベルプリンターは工場・製造現場に必須!導入時のポイントとは
本コラムでは、ラベルプリンターの導入時のポイントについてご紹介しています。
3.ラベルプリンターの印字方式の違い

ラベルプリンターは、印字方式によって大きく2種類に分けられます。方式によって、適した用途やラベルの素材などが異なりますので、用途に合わせて選ぶ必要があります。
感熱方式

感熱方式は、感熱性のラベルに熱を加えて発色させる印字方式です。必要な消耗品は感熱用紙(サーマル紙)のみで、インクリボンやトナーなどは必要ありません。
ただし、熱によって発色させるため、摩擦熱や直射日光に弱い点はデメリットです。
時間経過や日光(紫外線)の影響によって変色や印字した内容が消えることがあります。食品表示や荷札ラベルなど、使用期間が短期間の場合や、耐性が要求されない用途にのみ採用されます。
感熱ラベルの詳細は、以下の記事で詳しくご紹介しています。
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感熱ラベル(サーマルラベル)の特徴と熱転写ラベルとの違いとは?
本コラムでは、感熱ラベルの特徴や種類、熱転写ラベルとの違いについてご紹介しています。
熱転写方式

熱転写方式は、インクリボンを使用します。文字やバーコード部分のインクリボンを熱で溶かし、用紙に転写する印字方式です。感熱ラベルに比べて変色しにくい上、ラベル用紙の素材によっては耐熱性や耐水性、耐薬性などをさらに高めることができます。
主に銘板、在庫管理、医療用ラベルなどで使用されます。また、配送ラベルなど摩擦や温度変化の多い用途にも活用されています。
ただし、ラベル用紙に加えてインクリボンも必要なため、感熱方式に比べてランニングコストが高額になる点がデメリットと言えるでしょう。
熱転写方式については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
-
熱転写方式とは?ラベル発行におけるメリット・デメリットをご紹介
本コラムでは、熱転写方式の仕組みや特徴についてご紹介しています。
4.ラベルプリンターの選び方

ラベルプリンターは、機種ごとに機能や操作性が異なります。そのため、用途に適した機種を選ぶことが大切です。
ラベルプリンター導入をご検討の際は、以下のポイントを参考にお客様の現場や用途に合った機種をご選定ください。
- ラベルの大きさ
- ラベルに必要な耐性
- ラベルを発行する環境
- その他の特徴的な機能性
なお、業務用ラベル作成の準備やラベルプリンターの使い方については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
ラベルの大きさ
ラベルの大きさは、貼り付ける対象物のサイズや印字したい情報量によって異なります。
ラベルプリンターによって最大の印字幅が異なるため、印字したいラベルの大きさや印字幅によって最適な機種を選びましょう。反対に、小さなラベルに印字を行う場合は、印字精度が要件を満たしているか確認することがポイントです。
ラベルに必要な耐性
ラベルの用途によって耐熱性、耐候性、耐溶剤性など特殊な耐性が求められる場合があるため、ラベルプリンターを選ぶときにも必要な耐性のあるラベルに印字できるかどうかも注意しましょう。
近年、感熱方式のラベルでも耐性に優れた用紙が増えています。しかし、長期間の貼り付けや高度な耐性を求める場合は、熱転写方式のラベルが最適です。事前に貼り付けテストを行い、用紙を選定したうえで各印字方式に対応するラベルプリンターを選ぶことが重要です。
ラベルを発行する環境
上位システムや設置環境、運用によってラベルプリンターを選ぶこともポイントです。
例えば、PLC(制御装置/シーケンサー)や計量器などの周辺機器のデータをもとにラベルを発行したい場合は、PCが使えない現場でも使用できるラベルプリンターをおすすめします。
小売店での値引きラベルの発行や、物流現場での配送ラベルの発行など作業者がラベルプリンターを持ち歩きながら使用する場合は、持ち運びに適した機種を選定すると良いでしょう。
その他、省スペースでも設置できるラベルプリンターであれば、カウンターの上や限られたスペースにも配置してラベルの発行が可能です。
PCレスでラベル発行する方法や周辺機器と連携する方法については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
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ラベルプリンターとスマホを連携!PCレスでラベル発行をよりスムーズに
本コラムでは、ラベルプリンターとスマホを連携させたラベル発行のメリットや必要なツールについてご紹介しています。
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計量器やPLCとラベルプリンターは連携できる!PCを使用しない運用で正確性と作業効率を向上
本コラムでは、計量器やPLCなどの周辺機器とラベルプリンターを連携するメリットについてご紹介しています。
その他の特徴的な機能性
特殊な運用や用途に対応できる機種もあります。導入後、必要な用途に合わせて使用できるように、機能性についても確認することが重要です。
RFID対応
RFID(Radio Frequency Identification)は、電波を用いて無線でデータを読み取り、人やモノの識別・管理を行う技術です。RFIDタグ・ラベル(ICタグ)に高速かつ連続して情報を書き込みながらラベルに文字やバーコードを印字できます。
ノンセパ®ラベル対応
ノンセパ®ラベルは、台紙のないラベルのことです。ノンセパ®ラベルが対応できるラベルプリンターを使用することで、廃棄物の削減やプラスチックの削減などに貢献しつつ、台紙を剥がす手間も省けます。
両面印字対応
両面印字に対応したラベルプリンターを選べば、ラベルの表と裏の両面へ同時に印字が可能です。片面印刷の場合と比較して印字処理能力が2倍になるため、作業効率の向上が期待できます。
高精度印字対応
高精度印字に対応したラベルプリンターは、小さなラベルに印字する際も印字誤差を最小限に抑え、高精度で印字が可能です。例えば、小型化が進む電子機器に使用される基板の管理ラベルを印字する際に活用できます。
5.【シチュエーション別】おすすめラベルプリンター
サトーでは、さまざまな現場に対応可能なラベルプリンターを取り扱っています。
ここからは、用途別のおすすめラベルプリンターと導入事例をご紹介します。
【大量発行】スキャントロニクス CL4NX-J Plusシリーズ

スキャントロニクス CL4NX-J Plusシリーズは、ラベルの大量発行に対応する高速印字や小さなラベルや、細かい印字に最適な高精度モードを搭載したラベルプリンターです。RFID対応モデルもご用意しております。
工場の製品管理や工程管理のラベル発行、また物流倉庫の入出庫管理ラベルや送り状発行などに活用できます。詳細は、以下のページをご確認ください。
三菱ケミカル株式会社様は、スキャントロニクス CL4NX-JとRFIDラベルの導入によって定修工事の受付時間を大幅に短縮しました。
【導入前の課題】
- 定修工事の工事安全指示書着工受付において30分/人の順番待ちが発生
- 安全確認の説明に時間がかかり工事の開始が遅延
- 工事安全指示書終了受付や日報作成、翌日工事着工の準備などにかかる工数が膨大
【導入による効果】
- RFIDによる指示書一括読み取りシステムの導入により受付が数十秒/人で完了
- 日報のデジタル化および受付管理・進捗状況が瞬時に確認可能
- 気遣いや心遣いの一言を交わせるようになったことで、より一層の安全管理を実現
導入事例の詳細はこちらからご確認ください。
【小型設計】SCeaTa(シータ)CT4-LX

SCeaTa(シータ)CT4-LXは、4.3インチの液晶タッチパネルを搭載し、直感的に操作できるラベルプリンターです。PCレスでのラベル発行や、RFIDに対応したモデル、環境に配慮した台紙のないノンセパ®ラベルにも対応しています。また、設置環境を考慮し正面からカバーの開閉が行えます。背面も電源コネクタなどがプリンターから出っ張らず、奥行きのない場所でも設置できます。
物流倉庫でのカートピッキング時のラベル発行や、イベント会場での入場チケット発行などに活用できます。詳細は、以下のページをご確認ください。
株式会社ジュンテンドー様は、SCeaTa(シータ)CT4-LXと台紙のないノンセパ®ラベルの導入によって、ラベルの交換時間が大幅に減少しました。
【導入前の課題】
- 10年前に導入したプリンターの更新時期にともない、継続保守が困難になった
- 1回のラベル交換に時間がかかり、作業中断で作業効率が低下していた
- ラベルの使用量が多いため、大量の台紙の廃棄が発生していた
【導入による効果】
- 保守体制が強化され、コストも低下。コンパクト設計で作業スペースも有効活用
- ラベル交換時間が2分半~3分から25秒に(作業時間の約86%を削減)
- ノンセパラベルを採用したことで台紙の廃棄ロスに、環境負担が低減
導入事例の詳細はこちらからご確認ください。
小型ラベルプリンターについての詳細は、以下の記事で詳しくご紹介しています。
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小型ラベルプリンターの魅力とは?省スペースでスムーズなラベル発行を実現
本コラムでは、小型ラベルプリンター(コンパクトプリンター)を使用するメリットや、具体的な使用例、サトーの小型ラベルプリンターをご紹介します。
【PCレスで発行可能】FLEQV(フレキューブ)FX3-LX Plus

FLEQV(フレキューブ)FX3-LX Plusは、7インチのタッチパネル式大画面カラー液晶を搭載したラベルプリンターです。AndroidTM OSを搭載しており、カスタムアプリケーション開発にも対応。ボタン配置をアプリケーションでカスタマイズ可能です。また、スキャナーや計量器などとも連携できます。
主に小売店や食料品売場などで活用できます。スーパーでの値引きラベル発行、検品・棚卸の端末としての活用、レストランにおける食材の期限管理ラベル発行、加熱調理食品の温度記録など、幅広く活用できるのが特徴です。詳細は、以下のページをご確認ください。
株式会社海星ムサシ様は、FLEQV(フレキューブ)FX3-LX Plusの導入によって、表示指示書をプリンター発行にし、視認性や作業効率を向上させました。
【導入前の課題】
- 手書きの表示指示書は識別しづらく、クレームやトラブルの元になっていた
- 使用する表示指示書の枚数が多く、記入に時間がかかり販売のチャンスロスがあった
- 紙製の表示指示書は水分などで破れやすく、異物混入リスクがあった
【導入による効果】
- クラウドで情報を管理しているため、店舗での品名の記載ミスがなくなった
- 商品番号だけで表示指示書が発行可能になったため、余剰時間で接客ができるようになった
- 表示指示書の耐久性が大幅に向上して異物混入の不安が解消。管理効率が良くなった
導入事例の詳細はこちらからご確認ください。
ラベルプリンターとスマホートフォンの連携についての詳細は、以下の記事で詳しくご紹介しています。
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ラベルプリンターとスマホを連携!PCレスでラベル発行をよりスムーズに
本コラムでは、スマホ・タブレットからラベル発行を行うメリットや、必要なツール、サトーのソリューションなどをご紹介します。
【堅牢設計】Petit lapin(プチラパン)PW208NXシリーズ

Petit lapin(プチラパン)PW208NXシリーズは、用紙幅2インチのラベルやレシートに対応したラベルプリンターです。最大印字速度152mm/秒と、高速なラベル発行を実現します。
2.5mの高さからの落下衝撃に耐える堅牢設計※で、過酷な現場にも最適なモデルです。
配送現場における荷役作業中のラベル発行をはじめ、主に物流業の現場で活用できます。詳細は、以下のページをご確認ください。
※当社落下試験 コンクリートに2.5mの高さから6面方向に落下させて動作すること
モバイルラベルプリンターを使用するメリットについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。
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モバイルラベルプリンターを使用するメリットは?屋外や耐久性が求められる過酷な現場での活用例と選び方のポイント
本コラムでは、モバイルラベルプリンターを使用するメリットや活用例についてご紹介しています。
【値札・タグ発行】SATOC(サトック)ST300Rシリーズ

SATOC(サトック)ST300Rシリーズは、昇降式のタグスタッカオプションで値札・タグ発行の高速大量発行が可能なラベルプリンターです。大型の液晶パネルや6つのボタンと十字キーで簡単に操作できます。
百貨店や量販店をはじめ、主にアパレルや小売店でタグや値札の発行に広く活用されています。詳細は、以下のページをご確認ください。
6.現場の課題に合ったラベルプリンターを選ぼう
ラベルプリンターは、商品ごとに機能や使い勝手が異なります。現場の課題を解決できる機能を備えているかを基準として選定することが大切です。
サトーでは、お客さまの現場の課題に合わせて、ラベルからラベルプリンター、ソフトウェア、導入後の保守まで一貫してご提案しています。
ラベルプリンターの導入をご検討の際は、お気軽にご相談ください。
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