ラベルに文字を印字する方法は、大きく熱転写方式と感熱方式に分けられます。
感熱方式で使用する素材は感熱用紙(サーマル紙)です。
感熱用紙で作られたラベル(以下、感熱ラベル)は、熱転写方式ラベル(以下、熱転写ラベル)と比較してどのような特徴を備えているのでしょうか。現場の用途に適したラベルを選ぶことが、生産性(運用)にも影響するため、双方の違いについて把握しておくことが重要です。
ここでは感熱ラベルの概要や、サトーで取り扱っている感熱ラベルについてご紹介します。
目次
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1.感熱ラベルに印字できる仕組み
表面基材に感熱用紙が使われているラベルは、感熱ラベルと呼ばれています。
感熱用紙とは、表面に熱を感知する発色層が塗られている紙で、熱反応で色が変わることを利用して印字を行います。具体的な仕組みは以下の通りです。
【感熱ラベルに印字できる仕組み】
- 1.プリンターのサーマルヘッド(印字ヘッド)の発色したい箇所が発熱する
- 2.発熱したサーマルヘッドが感熱用紙に触れることで、発色層が熱反応で発色する
2.感熱ラベルと熱転写ラベルの違い
熱転写ラベルとは、熱によってインクをラベルに転写する方式のラベルです。
インクやラベル素材の種類が多く、耐環境性能に優れ耐光や耐熱、耐薬品などに特化したものを選択することにより耐久性の強化が図れます。
ただし熱転写ラベルをラベルプリンターで印字する場合別途インクリボンが必要になり機構が複雑になるため、ラベルプリンターのメンテナンスコストも高くなる点はデメリットです。
一方、感熱ラベルは発色層が熱に反応することによって印字を行うため、長時間使用する場合発色部分の退色があります。耐環境性能は専用基材の豊富な熱転写ラベルと比較した場合劣ります。その反面ラベルプリンターのインクリボンが不要でランニングコストを抑えられる点がメリットです。
3.感熱ラベルの使用に適したシーン
感熱ラベルは、印字する際にインクリボンを必要としない点が特徴です。そのため、熱転写ラベルに比べてランニングコストを抑えることができます。
また、インクリボンをプリンターに搭載する必要がなく、小型のモバイルプリンターやスタンドアロン型プリンターでの印字が可能です。
感熱ラベルは以下のような用途に適しています。
- 食品表示ラベル
- 消費期限・賞味期限ラベル
- 荷札ラベル
- PDラベル
4.サトーで取り扱っている感熱ラベルの種類
サトーでは、現場のさまざまな用途に対応できるように、複数の感熱ラベルを取り扱っています。ここでは、サトーが取り扱っている感熱ラベルの中から一部をご紹介します。
アクアサーマル 結露糊H
アクアサーマル 結露糊H(以下、アクアサーマル)とは、低温環境や粗面、結露面に高い粘着性を持つ安全性の高いラベル基材のことです。チルド環境下において霜がついた状態の表面でも、十分な粘着性を発揮できます。そのため、水分を拭き取らず貼り付け作業を行うことが可能です。
アクアサーマルをはじめとした、サトーが取り扱う食品の製造から小売の現場でよく使われるプリンターサプライの詳細については、以下も併せてご確認ください。
ノンセパコンビラベル®
ノンセパコンラベル®とは、台紙がなく表裏同時に印字を行うことができる糊付きのサーマル紙です。表裏で異なる内容を印字したり、1枚の幅広ラベルとして使用したりできます。
台紙を捨てる手間がかからず、スピーディーに作業を行うことが可能です。
また、台紙の燃却処理が不要で紙材料の削減とCO2排出を抑制でき環境に配慮したラベルです。
タフネオサーマル
タフネオサーマルとは紫外線や水、アルコール、油、溶剤に対して印字が消えにくいサーマル紙のことです。耐水、耐薬品、耐擦過に優れており、屋内で約2年、半屋外環境で約1カ月程度印字の読み取りができます。
フィルムやインクリボンを使用しない環境に配慮した基材で、小型の携帯プリンターでも発行可能です。印字品質も非常に良く、現場の状況に合わせたラベル発行が行えます。
サトーが製造するラベルプリンターのサプライは、お客さまの個々の要望にお応えし、数百を超える基材から上紙や糊の強さを組み合わせ最適な基材をご提案することが可能です。
また、サトーでは基材開発や製造から出荷までのプロセスをすべて自社内で行っています。
品質管理および品質保証に関する国際規格(ISO9001)や環境マネジメントシステムに関する国際規格(ISO14001)の取得、サトー独自の環境基準の制定など、安心を提供する環境づくりにも取り組んでいます。
自社のラベルプリンターとのマッチングテストも行っており、お客さまが安心してお使いになれるラベルをご提供します。お気軽にご相談ください。
5.感熱ラベルを活用した導入事例
ここからは、サトーの感熱ラベルを活用したソリューション事例をご紹介します。
GHSラベル自動貼り付けシステムの導入により作業時間を93%削減
株式会社T&K TOKA様では、ラベル貼り付け作業の際作業指図書と現品ラベルを目視で照合していたため、印字ミスなどが多発していたことが課題でした。また、ラベルへの糊付けが必要だったことから、糊の付着が悪かったり、糊つぼ清掃の手間が発生していました。
同社は、サトーのタフネオサーマルラベルを活用したGHSラベルの自動貼り付けシステムを導入。その結果、現場の生産性向上やお客さまの信頼獲得を実現しました。
【導入前の課題】
- ラベルの目視チェックが必要
- 貼ったラベルの傾きや糊の染み出しチェックも必要
- ラベル剥がれによるクレーム発生
- 現場とラベル発行場所との行き来の手間が発生
- 都度、糊つぼの洗浄が必要
【導入による効果】
- ラベル室の人員削減を実現
- 事前の印字が不要になり、状況に応じたラベル発行が可能
- ラベル発行と同時にカメラで検査できるため、貼り付け後の不具合を削減
- ラベルをセットするだけで発行できるため、作業時間を93%削減
- クレームが減少し、お客さまの信頼獲得を実現
具体的な事例内容については、以下もご確認ください。
6.用途に適した感熱ラベルを選ぼう
感熱ラベルは、プリンターのインクリボンが不要でランニングコストを抑えられる点がメリットです。
小型のモバイルプリンターやスタンドアロン型プリンターでの印刷が可能なことから、食品表示ラベルや商品・値札ラベル、現品票、宛名ラベル、バーコードラベルなど、現場の用途に合わせた使い方ができます。
ただし、感熱ラベルを使用する場合、長期間の使用が不向きな点には注意が必要です。
サトーでは、幅広い使用環境や用途に対応可能なラベルを取り扱っています。ラベルプリンターやラベルに関するお悩みがある場合はお気軽にご相談ください。
現場の用途に適した感熱ラベルをご提案します。