建設業界は仕事の性質上、他の職業よりも労働災害が発生しやすいといわれています。
年々減少する傾向ではありますが、全体的に見れば依然として高い割合を占める状況です。
そのため建設業界では安全管理を強化することが特に重要です。ここでは、安全管理について重要なポイントや課題などをご紹介します。
目次
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1.安全管理とは
建設現場における安全管理とは工程管理や原価管理、品質管理と並ぶ「施行管理業務」の一つです。
例えば、高所からの落下を防ぐための手すりの設置や機器トラブルを避けるための点検作業など、作業員の身を守るための業務を指します。
建設現場には、大型機械の出入りや重い資材の運搬、高所での作業など労災事故につながる要素が非常に多くあります。
事故が発生した場合、工期に遅れが出るだけでなく人命に関わる事態に発展しかねません。万が一のことが起こらないためにも安全管理を徹底する必要があります。
2.建設現場における労災事故を防ぐ12の方法
建設現場での労災事故を防ぐためには具体的にどうすればよいのでしょうか。
ここでは、建設現場における労災事故を防ぐ12の方法をご紹介します。
また厚生労働省が発表している「建設業における安全対策」のうち、「元方事業者による建設現場安全管理指針」の内容も併せてご確認ください。
1.安全衛生管理計画の作成
建設現場に関わる元方事業者には「安全衛生管理計画」を作成することが求められています。
安全衛生管理計画には以下のような項目を記載します。
- 安全衛生管理の基本方針
- 安全衛生の目標
- 労災防止対策
- 計画に対する労働者代表の見解 など
計画的な実施のために、実施期間や次年度計画における検討事項を記載することも重要です。
2.定期的な機器の点検
定期的な点検は、機器の故障や誤作動などによる事故の防止につながります。始業前後や自然災害発生後など定期的に現場の点検を行うとよいでしょう。
点検が必要な機器のリスト化は効率よく作業をするために役立ちます。
3.上下・高所作業時の安全対策
上下作業のある建設現場では、モノの落下事故が発生する恐れがあります。上下作業は極力避けることが重要ですが、避けられないときは落下防止用のネットを設けたり、作業員同士で声を掛け合ったり、作業環境の安全を確保しましょう。
また高所作業時は、転落防止対策も行う必要があります。作業環境に応じて手すりや防護柵などを設置しましょう。
4.工法の確認
決められたルールにのっとり、正しい工法で作業が行われているかを確認することも建設現場の安全管理を行ううえでは重要です。作業前に作業手順書を作成し、ルールを順守させるとよいでしょう。
元方事業者が定期的に現場を巡視することも大切です。
5.危険予知訓練の実施
作業前には作業中にどのような事故が起こり得るのかを想定し、対策を検討する危険予知(KY)訓練にも取り組むとよいでしょう。
作業中のリスクを想定することで、危険を回避しやすくなります。
作業前の他実際に現場で働く作業員が全員集まるタイミングで行うと効果的です。
6.天候に応じた対策
屋外作業が多い建設現場においては、天候や季節に応じた対策が必須です。
例えば雨天時は足元が滑りやすくなるため、転倒リスクが高まります。
現場や資材置き場の立地によっては、浸水による影響が出ることも考えられます。
また強風の日は、現場に設置しているシートや三角コーンなどが吹き飛ばされる恐れもあります。作業員はもちろん近隣住民への被害を回避するため、天候には日ごろから気を配り早い段階で対処しましょう。
7.5Sの徹底
建設現場における労災事故を防ぐためには、5Sの徹底が重要です。
5Sとは「整理、整頓、清掃、清潔、しつけ」のことを指します。
5Sを徹底し現場が常に整理されていれば、モノを蹴って落としたりつまずいて転倒するといった事故が防げます。
8.ヒヤリ・ハットの共有
「ヒヤリ・ハット」とは重大な事故には至らなかったものの、重大な事故に直結する恐れがあった事例を指します。現場でヒヤリ・ハットにあたる事例を目撃したり、体験した場合は、全ての作業員に共有しましょう。
現場全体で注意喚起することで、未然に事故の発生を防ぐことができます。
9.作業員の体調管理
体調が優れない作業員を無理に働かせた場合、ヒューマンエラーや思わぬ事故を招く恐れがあります。作業員に体調管理を義務付けるだけでなく体調を把握するための管理体制や体調不良を報告しやすい体制を整えましょう。
例えば、体調やストレスに関するチェックシートの記入を日々の業務開始前や定期的に実施する方法があります。
また疲労の蓄積を防ぐため、業務の効率化を図り長時間労働を避けることも重要です。
10.作業員の教育
危険予知能力を養うためには、作業員の教育を強化する必要があります。
新たに現場に配属された作業員だけでなく、現場に慣れている作業員に対しても十分な教育を行わなくてはいけません。
業務開始前には、毎回その日の作業の注意するべきポイントを確認し直すことも有効です。
11.コミュニケーションの強化
作業員間での情報共有を増やすなど、コミュニケーションの強化も重要です。コミュニケーションの強化は、注意事項を共有しやすい現場づくりにつながります。
また作業員同士のトラブルや連携ミスを防ぐ観点からも重要な取り組みです。
12.労災発生時に備えた対策
どれだけ注意をしていても、労災の発生率をゼロにすることは難しいでしょう。
万が一労災や事故が発生した場合に備え、原因調査や再発防止に努められる環境を整えておかなくてはいけません。
労災事故の発生原因を分析する基準をあらかじめ決めておき、普段の業務フローに反映できる仕組みづくりが重要です。
3.安全管理の課題と解決方法
重大な事故が起こる可能性が高い建設現場では、安全確認を厳格に行う必要があります。
しかし指示書に安全確認の記録を残したり説明するために多くの工数が発生してしまいます。その結果、業務効率が低下しやすいのが課題です。
このような課題の解決の一つにRFIDの導入をおすすめします。例えば、工事許可書にRFIDラベルを貼り付け、RFIDリーダーで読み取るだけでセルフ受付を完了できる「RFIDを活用した定修工事安全指示書受付システム」を活用すれば安全確認に必要な工数を大幅に削減できます。
4.RFID技術を活用した安全管理の導入事例
ここからは、「RFIDを活用した工事安全指示書受付システム」の導入事例をご紹介します。安全管理対策にRFIDを活用する際、参考にしてください。
定修工事の管理業務プロセスを改善
「KAITEKI実現」というビジョンを掲げる三菱ケミカル株式会社様は、社会や地球の持続可能な発展に注力している企業です。
石油化学の基礎製品を製造している茨城事業所では、定修工事における工事受付や、工事終了後の日報確認などに多くの工数が発生し、時間外業務が増えることを長年の課題としていました。
そこで同事業所は限られたリソースで安全かつ高品質なモノづくりができる体制整備の一環としてRFIDを活用した効率的な「定修工事安全指示書受付システム」を導入しました。
【導入前の課題】
- 定修工事の工事安全指示書着工受付において30分/人の順番待ちが発生
- 安全確認の説明に時間がかかり工事の開始が遅延
- 工事安全指示書終了受付や日報作成、翌日工事着工の準備などにかかる工数が膨大
【導入による効果】
- RFIDによる指示書一括読み取りシステムの導入により受付が数十秒/人で完了
- 日報のデジタル化および受付管理・進捗状況が瞬時に確認可能
- 気遣いや心遣いの一言を交わせるようになったことで、より一層の安全管理を実現
具体的な事例内容については、以下もご確認ください。
関連情報
5.安全管理の徹底
安全管理の徹底のためには、全作業員が注意事項を共有する必要があります。しかし、業務時間の確保を優先してしまい、注意事項の共有がおざなりになりやすいという課題を多くの企業が抱えています。
安全確認の記録や説明の効率化をお考えであれば、ぜひサトーまでお気軽にご相談ください。
多くの建設現場への導入実績を活かし、貴社の課題解決につながるご提案をいたします。