
商品に貼り付けるラベルやシールは、耐水性が必要になる場合があります。
例えば、冷蔵・冷凍環境での保管を要する食品に貼るラベルや、風雨にさらされる屋外で保管を行う部品に貼り付けるラベルなどが挙げられます。
そのような環境で使用するラベルやシールは、具体的にどのような仕様なのでしょうか。
本コラムでは、耐水ラベル・シールの特徴と活用事例をご紹介します。
目次
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1.耐水ラベル・シールが必要なシーン

ラベルやシールに水分が付着する恐れのあるシーンは以下が考えられます。
- 結露が発生する冷凍・冷蔵食品の商品ラベル
- 水気の多いキッチンで使用する容器に貼る食品期限管理ラベル
- 園芸商品の値札
- 屋外で保管する資材の管理ラベル
- 病院で使う調乳ラベル など
これらの場所では温度変化による結露や周囲の環境が原因で商品に水分が付着し、ラベルが剥がれてしまう恐れがあります。
また、万が一濡れたままのラベルを使用した場合「ラベルに記載している文字や数字が読めずに商品の詳細が分からない」「剥がれたラベルがほかの商品に貼り付いてしまう」「ラベルが破損していて顧客に不快感を与えてしまう」といったリスクも懸念されます。
一般的に水分に強くするには「耐水性」や「撥水性」を高くする方法が考えられます。
ラミネート加工はラベル表面の撥水性を高めることが可能ですが、表面基材が耐水性のない紙素材の場合にはラベルの側面から水分を吸収してしまう恐れがあります。
一方、基材自体に耐水性のあるラベルを使えば、水がかかっても破れたり剥がれたりするリスクを減らすことが可能です。
2.耐水性を備えたラベル・シールの特徴

耐水性を備えたラベル・シールは、具体的に以下のような特徴を備えています。
- 破れにくい
- 貼りやすく剝がれにくい
- 擦れに強い
ここでは、それぞれの特徴についてご紹介します。
破れにくい
耐水性のあるラベル・シールは水に強いフィルム系の表面基材や、紙系でも特殊な構造の表面基材を使用しているため、水気が多い環境でもラベルが脆くなったり破れたりしにくい点が特徴です。
貼りやすく剝がれにくい
ラベルやシールは「表面基材」「粘着剤」「剥離紙」の3層構造になっていることが一般的です。水分が付着する可能性がある用途では、ラベルの貼り付きに影響する粘着剤の耐性も重要です。耐水性の高い粘着剤は、被着体の表面に水分が付着していても充分な粘着性を発揮できます。
擦れに強い
擦れに強いことも耐水性が必要なラベル・シールに求められる機能です。
発行後に水分が付いた状態で擦っても印字がにじんだり取れたりしにくく、商品の価格や消費期限など重要な情報の可読性を保つことが可能です。
3.耐水ラベル・シールの種類

耐水ラベル・シールは、表面基材から大きく2種類に分けられます。
- フィルム系基材
- 紙系基材
ここでは、それぞれの特徴をご紹介します。
フィルム系基材
フィルム系基材は紙と比較して全般的に耐水性、耐久性に優れているのが特徴です。
合成樹脂(プラスチック)やポリプロピレン樹脂、PETフィルムを主原料としたものなど複数の種類があり、使用目的に応じて幅広い選択が可能です。
紙系基材
普通の紙は水分を吸収すると破れやすくなってしまうのが欠点です。
一方、耐水性のある紙を使用した基材は水分を吸収しないように対策されています。紙表面または内部に特殊な加工を施すことにより、耐水性・撥水性を持たせており、普通の紙に比べ強度も優れています。
これまで水濡れする環境では、フィルム基材を使うことが主流となっていましたが、「減プラ」を実現する選択肢の一つとして紙系基材が選ばれるようになってきています。
4.ラベルプリンターも併せて用意しよう
水分に負けないラベル作成には、最適なラベル基材を選択することに加え、高品質の印字ができるラベルプリンターを使うことも重要です。
ラベルプリンターと純正ラベルを併せて使用することで、印字擦れや印字が取れることをなくし、ラベル自体の機能を充分に発揮することが可能です。
サトーでは自社プリンターを使ったテストを行っており、お客さまが安心してお使いできるラベルとラベルプリンターをご提供しています。
ラベルプリンターの詳細は以下でご確認ください。
5.サトーの耐水ラベルの導入事例

ここからは、サトーの耐水ラベルを導入して現場の課題を解決した事例をご紹介します。
「合成紙+特殊粘」の耐水ラベルで検品精度の向上を実現
太陽サカコー様は鉄鋼製品の「安全性・品質・サービス・技術・コストの追求」をスローガンに掲げ、鉄鋼製品づくりを突き詰めています。
そのなかで造船用の補強部材である厚板に貼るラベルが剥脱しやすいという問題がありました。部材は鉄製で表面が粗く、条件によってはラベルが貼りつきにくくなります。また、作業環境が低温のため従来のラベルでは貼りつきにくく、屋外での保管や船上での運搬の時に風雨の影響で剥脱してしまうのです。その理由は、雨で紙製の基材に染み込んだ水分が粘着層に影響を及ぼし粘着力を弱めてしまうことでした。
厚板に貼った管理ラベルは製品情報や納品情報を含んでおり、倉庫で行う出荷作業にとって非常に重要です。防水策としてラベル表面にクリア塗料を噴霧してコーティングしていましたが、月間で1,200枚程もラベルを使用するため、この作業が現場の大きな負担となっていました。
そこで同社はサトーの低温や粗面に強い鋼材向け管理ラベルを導入しました。
【導入前の課題】
- 製品(鋼材)が低温で表面が平滑ではない場合、ラベルが貼り付きにくい
- 屋外保管・運搬時に風雨の影響でラベルの剥脱が頻発する
- ラベルの貼り直しや剥脱を防ぐ補強作業などに多くの工数がかかる
【導入による効果】
- 粘着性が高い特殊糊の採用により低温時や粗面でもラベルが貼り付きやすくなった
- 合成樹脂のラベルを導入し、雨の染み込みを抑えて剥脱の防止を実現
- ラベルの貼り直しなどの工数を減らし、検品を充実させ顧客満足度が向上
新たなラベルに切り替えてからラベルの剥脱がほとんどなくなり、管理精度の向上を実現されました。具体的な事例内容については、以下もご確認ください。
6.耐水ラベル・シールを商品の管理に役立てよう
冷蔵・冷凍が必要な商品や水回りで使用する商品に通常のラベルやシールを使用すると、破れたり剥がれたりする恐れがあるため、耐水性が求められます。選定の際には実際の運用環境でテストし、耐水性以外の機能も含め、現場に最適なラベル・シールを用意することが重要です。
サトーでは、数百を超える表面基材や粘着剤を組み合わせ、お客さまのご要望にお応えする最適な基材をご提案いたします。基材開発から製造、出荷までをすべて自社内で行っております。品質管理および品質保証に関する国際規格(ISO9001)や環境マネジメントシステムに関する国際規格(ISO14001)の取得、サトー独自の環境基準の制定なども行い、お客さまに高品質の製品を提供するとともに、環境に配慮したものづくりを行っています。
ラベル・シールに関するお悩みがある際は、お気軽にご相談ください。
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