
ラベルやシール、紙、建築用の資材など、木材は多くの用途で使われています。
森林はこういった資源を生産するだけでなく、二酸化炭素の吸収や水の供給など、生き物が生息するためのさまざまな役割を果たしています。
しかし、生物にとって欠かせない森林は、現在失われ続けている状況です。
本コラムでは、持続可能な森林活用・保全を行う上で重要な「FSC®認証」についてご紹介します。
目次
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1.FSC認証とは

森林は、地球の陸地面積の約3分の1を占めています。日本の場合は、国土の約3分の2(約2,500万ヘクタール)にのぼります。
しかし、近年の乱伐や違法伐採、無計画な農地への大規模転換などが原因で、森林面積は世界的に減少しつつあります。そのため、森林の減少を抑制しながら木材などを引き続き使用するために、森林の適切な管理が求められています。
FSC認証とは、適切に管理されていると認められた森林から生産された木材や、その他のリスクの低い木材を使用した製品にFSCラベルを付け、認証製品として販売できる制度です。
出典:農林水産省「日本の森林面積とその割合(わりあい)をおしえてください。また、森林の割合の多い県と少ない県をおしえてください。」
2.FSC認証の仕組み

FSC認証は、森林の管理を認証するFM(Forest Management)認証と加工・流通過程の管理を認証するCoC(Chain of Custody)認証の連鎖から成り立っています。ここでは、それぞれの概要をご紹介します。
FM認証
最新のFM規格には10の原則、70の基準、更にその下に約200もの細かい指標があり、この規格に沿って審査を受け、大きな不適合がなければ認証を受けることができます。
FSC森林管理の10原則(FSC-STD-01-001第5版)
- 1.法律の順守
- 2.労働者の権利と労働環境
- 3.先住民の権利
- 4.地域社会との関係
- 5.森林のもたらす便益
- 6.環境価値と環境への影響
- 7.管理計画
- 8.モニタリングと評価
- 9.高い保護価値
- 10.管理活動の実施
- ※上記は2023年12月現在の情報を基に記載しております。
- 出展:Forest Stewardship Council Japan「FM認証(FM国内規格策定)」
CoC認証
林産物は、最終消費者の手に届くまで、多くの加工・流通業者の手を経ますが、この加工・流通過程を管理の連鎖(Chain of Custody)と言います。
CoC認証の対象となるのはFSC認証製品の所有権をもつすべての組織であり、これには伐採業者、加工業者、製造業者、流通業者、印刷業者、小売業者※などが含まれます。FSC認証製品をFSC認証の表示つきで販売したり、FSC認証製品として宣伝するには必ずCoC認証を取得しなければなりません。例え認証林から生産された木材でできた製品であっても、CoC認証を受けていない業者の手を経たものは、加工・流通過程で本当にきちんと管理されているか確認されておらず、トレーサビリティが確保されていないので、認証製品と呼ぶことはできないのです。
- ※一般の最終消費者にFSC認証製品を販売しているだけの小売業者には認証取得は必要ありません。ただし、建設業者などに認証製品を卸し、その建設業者がFSC認証製品を建築における環境認証のクレジットとして活用するような場合は認証が必要です。
- 出展:Forest Stewardship Council Japan「CoC認証」
3.3種類の製品用FSCラベル

製品用FSCラベルは、FSC認証製品であることを示すため製品上に付けるロゴです。
ラベルには、FSC認証であることの証となるロゴの他、製品の種類やライセンス番号などが記載されています。
ラベル下部の「FSC」から始まる番号が「FSCライセンス番号」で、FSCジャパンの認証データベースで認証取得者の検索が可能です。
製品用FSCラベルは記載内容だけでなく、色や大きさにも決まりがあります。表示する場所の形状により、縦型や横型の選択も可能です。加えて、全ての記載内容が判読可能である必要があります。
製品用FSCラベルには種類が3つあります。
- FSC100%ラベル
- FSCミックスラベル
- FSCリサイクルラベル
ここからはそれぞれの違いをご説明します。(サトーの販売製品は、FSCミックスの紙製品のみです。本コラム上では、3種類を掲載しております。)
FSC100%ラベル
FSC100%ラベルは、FSC認証林からの原料を100%使用している製品に付けられるラベルです。
FSCミックスラベル
FSCミックスラベルは、FSCが認めている適格な原材料(FSC100%、FSCミックス、FSCリサイクル、FSC管理木材、回収原材料)が複数使用されている製品に付けられるラベルです。適格な原材料間には優劣が付けられており、例えばパーセンテージシステムに基づいて生産される製品の場合、FSC100%等の優位な原材料が70%以上使用されなければFSCラベルは付けられません。
FSCリサイクルラベル
FSCリサイクルラベルは、回収原材料を100%使用している製品に付けられるラベルです。
木材製品の場合は、回収原材料の70%以上がポストコンシューマー(きちんと消費者の手に渡り、使用されてから回収された原材料)である場合に付けられます。
製品に含まれるすべての木材や紙が、FSCの定める規格に従ったものであり、真に回収またはリサイクルされたものであることが確認されていることを示しています。また、回収原材料は、FSCミックスラベル製品の製造にも使用することができます。
FSCリサイクルラベルが貼られた木材製品は、原材料の70%以上がポストコンシューマー回収原材料(個人または企業によって意図した用途に使用された後に回収された木材および木材繊維)から作られていることが、第三者認証機関によって証明されています。また、その他に使用されている原材料は、プレコンシューマー回収原材料(製品の加工工程において意図せず生産されたが、最終用途に合わず、製造過程において再利用することができない木材および木材繊維)でなければなりません。
紙製品の場合は、製品の該当する部分がすべて回収原材料であることが確認されている限り、プレコンシューマー回収原材料とポストコンシューマー回収原材料の割合に決まりはありません。ただし、FSCリサイクルラベルは、その木材が元々FSC認証林から来たものであることを保証するものではありません。
出展:Forest Stewardship Council Japan「FSCの登録商標の種類」/「回収原材料の扱い」
4.FSC認証を取得するメリット

FSC認証を取得するメリットは、違法伐採などが行われていない原材料を使って製品を製造・販売していることが第三者機関によって証明されることです。
自社で設けた基準でサステナブルな取り組みを行っている企業もありますが、第三者機関によって証明されることで消費者に客観的な信頼性を示すことができます。
どのような材料を使って商品を作っているかが明確になるため、サプライチェーンの透明化にもつながります。
また、社外に環境保全に取り組んでいることをアピールしたり、他社製品との差別化を図ったりできる点もメリットのひとつです。
さらに、正しい情報を伝え環境保全製品を使用してもらうことで、環境負荷軽減への関心が高い消費者に間接的に環境保全を支援してもらうことが可能です。
5.サトーが実施する環境負荷軽減への取り組み

サトーでは、環境負荷の少ない材料、部品、製品などを優先して購入する“グリーン調達”を推進しています。
FSC(CoC)認証を取得し、FSC認証紙を使用したシール・ラベルを取り扱っています。(ライセンス番号:FSC-C135435)
FSCマークは、森林破壊や違法伐採等の環境・社会的な問題のリスクの低い原材料が責任を持って調達され、使用されていることを意味します。
サトーでは、その他に商品から梱包材に至るまで、有害物質を含む材料を使用しないために自社で環境管理基準を策定し、2005年から運用しています。また、各国が規制する有害物質の使用を禁止するとともに把握すべき管理物質を明確にし、管理手順を定めました。
詳細な内容は、下記ページにてご紹介しております。
6.FSC認証製品を使用して環境負荷軽減に貢献
森林破壊が世界的で叫ばれる中、FSC認証の重要性は高まりつつあります。環境保全に取り組む企業として社内外にアピールするためには、FSC認証を取得している製品を選ぶことが重要です。
サトーでは、環境に配慮したグリーン調達の一環として、FSC認証紙を使用したシール・ラベルを取り扱っています。
環境保全に積極的に取り組みたいとお考えの際は、ぜひサトーへお気軽にご相談ください。
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