2次元コードの概要
2次元コードは、最大情報量が1KB以上あり、英数字なら約2,000字、数字なら約3,000桁以上を表すことができます。情報化密度は、バーコードの約10倍~100倍と高く、少ない情報なら数ミリ四方の極小シンボルも作成が可能です。また、カタカナや漢字のテキストデータばかりではなく、画像や音声などのバイナリーコードも表すことができるシンボルもあります。
2次元コードは、構造的に2種類に分類できます。
- スタック型
- 従来のバーコードを積み上げた形
- マトリックス型
- 碁盤の目のような形
2次元コードの標準規格
2次元コードの標準化は、まず国際自動認識工業会AIM(Automatic Identification Manufacturer)が、USS(Uniform Symbology Specification)規格、ISS(International Symbology Specification)規格、ITS(International Technology Specification)規格として標準化しています。これらの規格は、バーコード関連メーカーの業界団体が承認した単なる業界規格ですが、世界規模の唯一の組織であることから、ここで標準化されない限り、他の国家規格や国際規格になることは難しいです。USSに登録された2次元コードは、市場における普及率や今後の普及動向が考慮され、ANSI(米国規格協会)やISO / IECに登録されていくことになります。言わば、ISO / IEC登録されない2次元コードは普及していないことを意味します。業界毎にも標準化は進んでおり、流通業界では、2005年1月から統合され改名されたGS1(国際EAN協会と米国コードセンターUCCの統合)が、流通商品識別シンボル(GTIN)を標準化しています。また、医薬品・医療材料分野でも医療過誤防止や使用単位での管理を目的に省スペースシンボルGS1 Databar(旧RSS)を標準化して、強いリーダーシップで普及を推進しています。
2次元コードの特長
1KB以上の大きな情報量
バーコードの10倍から100倍の情報化密度
2次元コードの情報化密度は表す情報量によって大きく変化します。2次元コード種によっても異なります。これにより、従来のバーコードに比較して、省スペースで多くのデータを表せることも大きな特長のひとつです。
ミニチュアサイズの2次元コード
2次元コードの用途が広がる中、電子基板ロット管理などより小さく表現できる2次元コードが開発されています。シンボルによって最小サイズは異なります。
カタカナ・漢字からバイナリーデータまで対応
例えばCODE128のスタートキャラクタCモードは、1シンボルキャラクタが2桁の数字を表すように、2次元コードでは、数字や英字のように1バイトを必要としない場合は、自動的に圧縮されるようになっています。QRコードにおいても、数字モード・英数字記号モード・漢字モード・バイナリーモードがあり、それぞれ最小化されて表されます。したがって、バイナリーモードで指定して表さない限り、同じ文字数でも表すモードによってシンボルサイズが変わってきますので、ラベルデザインする場合に注意が必要です。
2次元コードの印字品質
2次元コードは、バーやセルが小さいため、バーコードに比べて損傷を受ける確率は高いと言えます。そこで、2次元コードは、損傷を受けたデータを演算により元に戻すために、誤り訂正機能を持っています。誤り訂正レベルは、一般的に使用環境により5%~30%程度を段階に分けて設定できるようになっています。注意は、誤り訂正設定値によって、シンボルサイズが大きくなり、演算量が増えるので読み取り速度が遅くなります。また、マトリックス型であれば『切り出しマーク』、スタック型であれば『スタート・ストップコード』の汚れは誤り訂正機能では救えません。
2次元コードの種類
1.PDF417
PDF417は、1989年米・シンボルテクノロジー社によって開発されたスタック型の2次元コードで、米国では最も普及しています。ASCII文字や数字の他にバイナリーも情報化できるようにしています。最大情報量は、英数字で1,850字、数字で2,725桁、バイナリーで1,108バイトの大容量シンボルを実現しています。
2.QRコード(Quick Response Code)
QRコードは、1994年(株)デンソーによって開発されたマトリックス型の2次元コードで、日本では最も普及している2次元シンボルです。クイックレスポンスという名前の通り、高速読み取りを重視したシンボルです。QRコードには、通常のモデル2と極小サイズのマイクロQRの2種類があります。モデル2は、歪み補正により、大容量が可能になっており、数字で7,366桁、英数字4,464字、バイナリーで3,096バイト、漢字(シフトJIS)で1,888文字表わすことができます。
3.DataMatrix Code(Datacode)
DataMatrix Codeは、1987年米国ID MATRIX社によって開発されたマトリックス型の2次元コードで、日本ではデータコードと呼ばれています。DataMatrixは、ECC000からECC140までのオリジナルバージョンとECC200のニューバージョンがあります。ECC200バージョンは、ISO / IEC規格化されており、大容量化と歪み補正機能やレーザーマーキングによる白黒反転像対応などに適応しています。一般的に使用されているDataMatrixメインバージョンとなっており、最大情報量は、英数字で2,335字、数字で3,116桁、バイナリで1,556バイトです。
4.合成シンボル(Composite Symbol)
合成シンボルは、医薬品や化粧品、貴金属など小物流通商品のために、GS1(国際標準機関)が開発したシンボルです。1999年にAIMIのITS規格に登録され、ISO / IEC24723として規格化されています。現在の共通商品コードJANは、流通システムの合理化に大きな役割を担ってきましたが、近年の食品に対する品質意識の高まりで、賞味期限などの商品個別単位で管理による顧客サービスの向上が必要になっています。また、医療分野では医療過誤の問題に伴い、医薬品や医療材料の履歴管理の義務化も始まっています。そのため、従来の商品コードの他に、ロット番号やシリアル番号を含めた製造履歴や販売履歴情報を商品に付加することが必要になってきました。合成シンボルは、さまざまな情報を小さなスペースに含めることに適したシンボルといえます。
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