2025年08月29日
株式会社サトー
株式会社サトー(本社:東京都港区、以下「当社」)は、株式会社ヤオコー(本社:埼玉県川越市、以下「ヤオコー」)が、AI活用により商品判別から食品表示ラベル発行を自動化するソリューション「AI画像スキャン値付け」をヤオコー西大宮店に導入したことをお知らせします。
本件は、食品業界におけるAI画像技術を活用した食品表示ラベルの先進的な実運用例となります。

消費者庁が定める食品表示法では、消費者が食品を安全に摂取し合理的に選択できることを目的に、原材料や添加物、消費期限、アレルゲンや保存方法、栄養成分といった表示項目が義務付けられています。
年々、食品表示の厳格化が進む一方、スーパーマーケットなどの惣菜や生鮮品を加工・製造する現場では、商品製造から食品表示ラベルの選択・発行まで人手による運用が中心となっています。多数の製造商品と、それに一致するラベルの確認は商品を熟知したスタッフが必要であり、デジタル化が難しい業務でした。当社はこの課題に着目し、AIで商品を認識して適切な食品表示ラベルを発行する「AI画像スキャン値付け」を開発しました。
ヤオコーによる「AI画像スキャン値付け」活用の目的
スーパーマーケットや食品小売業界では、食品表示ラベルの正確性とデジタル化は店舗運用の課題のひとつです。ヤオコーは、業界内でも先進的にデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しており、今回、AIを活用した店舗オペレーションに着手しました。AIカメラで商品を認識し、適切な食品表示ラベルを提示・ラベル印字する「AI画像スキャン値付け」に関心を持ち、インストアベーカリーでの実証実験(PoC)を通じて有用性を確認。その結果を踏まえ、ヤオコー西大宮店へ導入し、1日約150種のベーカリー商品のラベル発行に活用。今後は、導入店舗の拡大も視野に入れています。
導入により、以下のような効果が期待されています。
- これまで人が行っていた「商品と指示書の照合」工程をAIが代替し、オペレーション全体の時間短縮
- 商品知識が浅いスタッフでも、正確なラベル発行が可能となり、業務の属人性を解消
- 1商品あたり5枚の画像登録でAIが商品学習を行うため、商品変更の登録も対応しやすい
- 1店舗で登録した商品情報が全店舗にリアルタイム反映され、運用の一元化と効率化を実現

導入効果について
株式会社ヤオコー デジタル統括部 DX推進担当部長 池田鉄哉 様からのコメント
食品を取り扱う全ての事業者にとって、ラベルミスの撲滅は長年の重要な課題です。
当社にとりましても、お客さまの安全と信頼は最優先事項です。なにより、当社のお惣菜を楽しみにしてくださるお客さまのご期待を裏切ることは、決してあってはなりません。
これまで、人手による指差し確認や読み上げ確認、システムによる画像表示や音声読み上げなど、ラベルミス撲滅に向けて様々な取り組みを進めてまいりました。しかし、その都度、労働時間や業務の属人化といった課題に直面しました。そんな状況の中、サトー様から課題解決に向けた具体的な提案をいただきました。
食品小売業界における値付けラベル業務の革新的な転換点として、AI画像認識システムの導入を高く評価しています。これまで人的リソースに依存してきた値付けプロセスを、最先端のAI技術によって標準化し、ラベルミスの根絶と業務効率の劇的な改善を実現しました。
単なる技術導入ではなく、お客さまの安全と信頼を守る戦略的な取り組みとして、このシステムは食品小売業界に新たな品質管理の基準をもたらすものと確信しています。属人的作業から解放され、人間の能力をより付加価値の高い業務へシフトできる、まさに働き方改革を体現するソリューションだと思います。
「AI画像スキャン値付け」概要

- カメラ台座に商品をセットし、スキャンボタンを押すだけで、瞬時に商品を特定
- 揚げ物など判別しにくい商品も瞬時に特定可能
- 印字プレビューにラベルを表示し、指差し読み上げ確認を補助
- ラベル発行時(貼り付け時)の音声読み上げで、指差し読み上げ確認を補助
- 剥離センサー監視で次の商品ラベルの発行を制御し、商品切り替え時の貼り間違いを防止
- マスター情報の整備と商品画像の登録などを含め、最短約3カ月でラベル発行テストが可能