
「自動認識技術」は日常生活やビジネスのさまざまな場面で効率化の一助となっている技術です。
本コラムでは、自動認識技術の基礎知識や代表的な種類、特徴などをご紹介します。
目次
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1.自動認識技術とは

自動認識技術とは、人間を介さずハードとソフトを含む機器により自動的にデータを取り込み、内容を認識する技術のことです。
日常生活においては、スーパーのレジで読み取るバーコードやスマートフォンの顔認識ロック、自動車の衝突回避システムによる障害物検知などがこれに該当します。
従来はAutomatic Identification(自動認識)と呼ばれることが一般的でした。
しかし、近年はデータ収集まで含めてAIDC(Automatic Identification & Data Capture(自動認識&データ収集技術))と呼ばれることも増えています。
2.自動認識技術の代表的な種類

自動認識技術にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴が異なります。
ここでは、代表的な自動認識技術の種類と特徴をご紹介します。
バーコード

バーコード(1次元シンボル)とは、幅が変化する平行かつ長方形のバーとスペースの組み合わせによって情報をコード化したものです。
自動認識技術のなかでも特に長い歴史があり、小売店をはじめとしたさまざまな場所で使用されています。
バーコードの特徴は以下の通りです。
高い信頼性
バーを横切るようにスキャンすれば読み取ることができます。
バーのどこかに傷や汚れがあった場合も、そこを避けてスキャンすることが可能です。
豊富な読み取り方式と高い操作性
レーザー光やLED光で読み取りを行うため、接触でも遠隔でも運用に適した読み取り方式を選択できます。
安価なメディア
紙がメディアなので作成が安価かつ容易な点もメリットです。
安心感
バーコードは、流通、物流、製造、サービス業などさまざまな分野で広く利用されています。
万が一読み取れない場合でも、バーコードの下に文字が記載されているため、社会インフラとして安心して使用されています。
バーコードは100種類程度あり、業界のルールやバーコードの特性に合わせて使い分けられています。
例えば、流通業界で使用されるJAN(EAN)コード、自動車業界や電子部品業界などで使用されるCODE39、医療用医薬品業界などで使用されるGS1-128などが代表的です。
バーコードの詳細は以下で詳しく解説しています。
2次元コード

2次元コードとは、X軸(水平)とY軸(垂直)の両方向にデータを持たせた自動認識技術です。
バーコードを積み上げた形の「スタック型」とQRコード※に代表される碁盤の目のような形の「マトリックス型」があります。
2次元コードには以下のような特徴があります。
情報量の多さ
2次元コードには1KB以上の情報を書き込むことができます。
例えば、QRコードでは最大約4,200文字の英数字を表現することが可能です。
文字数に比例してコード自体のサイズも大きくなるため、印字予定のスペースに収まるかなど注意する必要があります。
情報化密度の高さ
バーコードと比較して、10倍から100倍の情報化密度があります。
これにより、省スペースで多くのデータを表すことができます。電子基板などにも印刷できる小さな2次元コードも開発されています。
カタカナ・漢字からバイナリーデータまで対応
英数字記号やカタカナ、漢字のテキストデータだけでなく、画像や音声などのバイナリーコードを表すことができるシンボルもあります。
2次元コードの詳細は、以下でご確認ください。
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
RFID

RFID(Radio Frequency Identification:無線周波数識別)とは、無線でデータの読み取りを行い、モノの識別や管理を行う自動認識技術です。
ICチップとアンテナを搭載したRFIDタグから、電波を介してICチップに格納されたデータの読み取りや書き換えを行います。商品のタグや、交通系のICカードにもRFIDの技術が利用されています。
使用する電波の周波数から、LF帯やHF帯、UHF帯などの種類に分けられます。
UHF帯の場合は、電波の届く範囲であれば複数のRFIDタグを一括で読み取ったり、箱の中にあるRFIDタグを読み取ったりできることが特徴です。
ただし、水や金属のある環境では読み取り精度に影響が出る可能性がある点には注意が必要です。
RFIDの詳細は、以下で詳しく解説しています。
位置測位技術(RTLS)

人やモノの所在や稼働状況、導線などを可視化する位置測位技術(RTLS:Real Time Location System)も、自動認識技術の一つです。
GPS衛星の電波を利用するシステムと、屋内など特定の領域で使われるIPS(Indoor Positioning System:屋内位置測位)システムの2種類に大きく分けられます。
IPSシステムはさらに位置測位の方法から複数に分けられ、それぞれ特徴が異なります。
使用する環境や求める精度に適したシステムを活用することが重要です。
OCR
OCRはOptical Character Recognition(Reader)の略で、日本語で光学的文字認識と訳されます。
手書きまたは印刷された文字を光学的に読み取り、機械に認識させる自動認識技術のことです。
データ入力の手間を省いたり、保存したデータの検索性を高めたりする効果が期待できます。
一般には誤読率を下げるため、専用フォントを使用するケースが多いですが、近年新しい技術として、手書き文字でも読み取れる「AI OCR」が注目されています。
マシンビジョン(画像認識)
マシンビジョンとは、カメラで撮影した写真や取り込んだ画像、映像データなどを処理・認識する技術です。
機械の目とも呼ばれる自動認識技術で、製品の製造ラインにおいて部品の検査やピッキング、ラベルの読み込みといった用途で使われています。
近年はAIを用した画像認識の技術も発達しており、人の目に比べ、短時間で多くの製品を確実に検査できる点がメリットです。
バイオメトリクス(生体認証)
バイオメトリクス(生体認識)とは指紋や網膜、静脈、音声など個人が持つ特性によって認識を行う自動認識技術です。
対象物の特徴を分析して識別を行うため、偽造や盗難といった不正防止に使用されます。
バイオメトリクスは高い精度で認識を行えますが、精度が100%ではない点に注意しなくてはなりません。
指紋を例に挙げると、指先のけがが原因で認識できなくなることも考えられます。
3.自動認識技術の活用のポイント

自動認識技術は種類が多いため、何を導入すべきか悩む方も多いのではないでしょうか。ここでは、自動認識技術を活用する際のポイントをご紹介します。
何にどのようなIDを付与するか
まず重要なことは、何にどのようなIDを付与するかを考えることです。
例えば、宝石のように一つ一つがユニークな商品の場合、それぞれに固有のIDを付与しますが、アパレル製品では同じ色やサイズの製品には同一IDを付与します。
用途に応じて最適なコードを選択することが重要です。
IDにどのようなデータを付与するか
次に、製品に付与したIDにどのようなデータを付与するかを検討します。
必要なデータの情報量によってどの自動認識技術(コード)を使用するべきかが決まります。
情報量とは、選択した自動認識技術に格納できる情報量のことです。
例えば、商品コードであれば最大10桁程のためバーコードを選択しますが、URLや漢字の商品名、賞味期限などを格納する場合には2次元コードを選択するなど、表現するIDや情報に必要な自動認識技術を選ぶ必要があります。
また、業界や用途で規格が決まっている場合はそれに合わせたコードの使用・データ設計を行う必要があります。
どのようなシーンでどのようにIDを集めるか
最後に、付与したIDをどのようなシーンでどのように集めたいかを考えます。
それによって読み取りに使う機器の種類や設定の仕方、IDを製品に表示する方法などが変わります。
例えば、レジで人が読み取りを行う場合は手持ち式や卓上型のバーコードスキャナーが便利です。
コンベアで読み取りを行う場合は固定式のバーコードスキャナーを使うことが一般的です。
また、広範囲のデータを一括で収集したい、1点ずつ確実に読み取りたいなど、現場の運用に応じて細かく調整を行うことで、より使いやすいシステムを構築することが可能です。
4.自動認識技術の特徴を理解しよう
今回は自動認識技術の種類や選び方についてご紹介しましたが、現場の課題解決には、仕組みや特徴を理解した上で運用に合うように選定することが最も重要です。
サトーでは、自動認識技術を活用し、工場や医療現場、小売店舗などさまざまな業界のお客さまの現場に合った商品を総合的にご提案しています。
現場の課題解決や自動認識技術の活用については、ぜひサトーへお気軽にご相談ください。
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