製造業や商品販売など在庫管理を行う企業では、「棚卸し」と呼ばれる作業が発生します。棚卸しは重要な管理業務ですが、目的を理解していない方やミスを起こしてしまう方もいるかもしれません。
棚卸しではミスを防ぐだけではなく、作業の効率化も図りたいところです。ここでは、棚卸しの概要や方法、効率化のためのポイントなどをご紹介します。
目次
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1.棚卸しとは
棚卸しとは、企業や店舗がある時点で保有している商品や製品などの在庫数を調べる作業のことです。棚卸しを行う目的としては、以下のようなものが挙げられます。
- 利益を把握するため
- 適切な在庫管理のため
- 販売機会を逃さないため
利益を把握するため
企業が実際に持つ在庫数で利益は変動します。例えば、1個300円で仕入れた商品1,000個を500円で販売し、在庫がすべてなくなった場合、「(500円-300円)×1,000個」となり利益は200,000円です。しかし在庫数が300個残り、700個しか販売できなかった場合、利益は140,000円にまで下がってしまいます。
棚卸しを行い実際の在庫数を正しく管理していれば、売上総額や純利益を正確に把握することが可能です。
適切な在庫管理のため
入力ミスや記入漏れで、帳簿に記載された在庫と実際の在庫の数が合わないことも考えられます。棚卸しを行うことで、正確な在庫数を確認することが可能です。同時に売れ残ってしまった滞留在庫や不良在庫の数も把握できます。
販売機会を逃さないため
在庫が少ない、長期保存で品質が劣化していたなどの理由によって、販売機会を逸する可能性があります。在庫数や品質の状態を確認することで、適切な数の在庫を保ち、販売機会ロスを削減できるでしょう。
2.棚卸しの方法
棚卸しの方法には、大きく分けてリスト方式とタグ方式の2種類があります。
- リスト方式
- タグ方式
棚卸しの方法を、それぞれ確認しておきましょう。
リスト方式
リスト方式とは、在庫管理表などのリストを作成して、実際の在庫数と照らし合わせる棚卸し方法です。リストに記載されている数と現物の数を比較しながら棚卸しを行うため、リストに記載されている商品の計上漏れが発生しにくい点はメリットだといえます。
ただし、リストそのものが間違っているとカウント漏れにつながるので、正確なリストを作成することが必須です。
タグ方式
タグ方式とは、品目や数量の記載されたタグを、商品や棚に貼り付ける棚卸し方法です。実際の品目と数量を確認した後、タグを貼り付けます。
事前に現物の数量を数えてから帳簿と比較するので、計上漏れが起きにくい点はタグ方式のメリットです。ただし、タグの作成や貼り付けといった作業が発生するため、工数がかかる点はデメリットだといえます。
3.棚卸しで起こりやすいミス
棚卸しは比較的単純な作業ですが、工程ごとにミスが発生しやすい点には注意が必要です。棚卸しで起こりやすいミスの事例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 在庫のカウント漏れ
- 外箱に貼ってある数量と在庫数のミスマッチ
- 数値の入力ミスや入力漏れ
- 商品間違いや名称の読み間違い
とくに、人手による作業が多い現場ではヒューマンエラーの発生率が高くなるため、ミスを抑制する仕組みづくりが大切です。
4.効率化のための注意点やポイント
棚卸しを行う際には、意識の持ち方や対策の取り方次第でミスを未然に防ぎ、効率化を図ることが可能です。ここでは、効率化のための注意点やポイントを3つご紹介します。
- 日々のチェック作業を入念にする
- チームを組んで行う
- 在庫管理システムを使用する
日々のチェック作業を入念にする
棚卸しで正確なデータを取得するためには、日々のチェック作業を入念に行うことが大切です。記載ミスや漏れによって在庫数がずれないよう、入出荷や返品などのタイミングでダブルチェックを行うとよいでしょう。日々の作業を慎重かつ丁寧に行うことで、棚卸しがスムーズに行えます。
チームを組んで行う
棚卸しの作業はチームを組んで行うことがおすすめです。1人ずつ個別で作業している場合は、ミスやエラーに気づきにくいと思います。例えば、2人1組などチームを組んで行うと、ミスの防止や作業効率化を図れるでしょう。
在庫管理システムを使用する
在庫管理システムの導入もおすすめです。一元管理が可能な在庫管理システムを導入することで、棚卸し作業の効率化を図れます。入力ミスなどのヒューマンエラー抑制につながり、リアルタイムで在庫状況を確認できる点もメリットです。
5.品質のチェックも大切
棚卸し作業では、在庫の数量だけではなく、品質をチェックすることも大切です。破損や汚損などで、品質が低下している場合もあります。
通常販売できないと判断された場合、損失として計上しなくてはいけません。商品に異常が見られた場合は、担当者へ報告しましょう。
6.棚卸しはRFIDで効率化しよう
棚卸しでは、在庫管理にRFIDを導入するのもおすすめですRFIDとは、英語の「Radio Frequency Identification」の略語で、電波を用いてICタグのデータを非接触で読み書きする技術です。ラベルやタグとして商品に貼付することで、個体管理が可能になります。
RFIDは遠距離で、複数の商品情報を同時に読み取れます。また一括処理も可能なため、商品を一つひとつ手に取る必要がありません。RFIDを現場に導入することによって、在庫管理業務や棚卸し作業の効率化を実現できるでしょう。
7.導入事例
RFIDの効果を理解してもらうためには、導入事例を参考にするのがよいでしょう。実際にサトーのRFIDを導入した、富士フイルムマテリアルマニュファクチャリング株式会社様の事例をご紹介します。
RFIDの導入により毎日の検品作業を5分に圧縮
大手フィルムメーカーの子会社である富士フイルムマテリアルマニュファクチャリング株式会社様では、徹底した品質管理を行うために多くの時間が必要なことが課題になっていました。サトーのRFIDソリューションを導入したことで、RFIDラベルを1種類に絞りこみ、大幅な工数の削減を実現しています。
【導入前の課題】
- 原材料の品目・重量のチェックに多くの工数が発生
- 現状のリソースで品質管理のレベルをさらに高めたい
- 市場ニーズの変化に合わせた生産量変化への対応に追われる
【導入による効果】
- RFIDの一括読み取りにより、検品作業を5分/日にまで短縮
- ヒューマンエラーを抑制し、品質管理のレベルを向上
- 業務のDX化によって、市場ニーズに合わせた柔軟な生産体制を実現
具体的な事例内容については、以下もご確認ください。
8.ポイントを押さえて効率的な棚卸し作業を
棚卸しは比較的単純な作業ですが、利益の計算や適切な在庫管理を実現するために大切なものです。ミスが起こる可能性もあるので、日々の在庫管理から意識して取り組みましょう。
在庫管理システムやRFIDなどを導入するのも、一つの方法です。
棚卸し作業の効率化などでお悩みの場合は、ぜひサトーまでお気軽にお問い合わせください。RFIDを読み取りやすい貼り付け方法など、現場改善にも精通しておりますので、皆さまの課題解決につながるご提案が可能です。