
物流現場では業務の効率化が求められているものの、多くの課題があるためなかなか実現できないというのが実情です。
しかし、近年商品や資材の管理などで、RFIDが使用され業務の効率化に大きく貢献しています。RFIDを導入することで、具体的にはどのようなメリットが得られるのでしょうか。
ここでは、物流現場に見られる課題やRFIDの特徴、RFIDの導入効果などをご紹介します。
目次
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1.物流現場の課題

物流現場では、具体的にどのようなことが課題となっているのでしょうか。ここでは、物流現場でよくある2つの課題をご紹介します。
- 1.入出庫管理や棚卸しに時間がかかる
- 2.作業の属人化
入出庫管理や棚卸しに時間がかかる
入出荷管理やピッキング、棚卸しは、在庫状況や商品の状態を把握するための重要な作業です。
目視やバーコードなどの手法で在庫や商品の確認を一つ一つ行うのは、人手が必要で時間もかかります。作業者の負担が大きく、見落としやデータの入力間違いといったヒューマンエラーにつながる点もリスクといえます。
作業の属人化
物流現場では、その人がいないと業務効率が落ちる、品質の管理ができない、作業工程が分からないといった「属人化」に陥るケースも散見されます。
トラブル時に担当者が不在でリカバリーできない、特定の作業者に業務が集中して残業が発生するといったデメリットは、属人化の大きな問題です。
また、作業の習熟度によって、精度や時間に差が発生してしまう点も課題といえるでしょう。
2.課題解決にはRFIDの導入がおすすめ!

物流現場の課題解決には、RFIDの導入をおすすめします。RFIDとは、電波や電磁波など、近距離の無線通信を用いてデータを記録した専用タグ(ICタグ)と非接触による情報のやりとりをする技術です。
電波による通信を行うため、RFIDタグが隠れていてもRFIDリーダーを使うと非接触で読み取ることが可能です。一括で複数のRFIDタグを読み取ることもできるため、物流の各種業務の効率化に寄与します。
3.物流業界でのRFID導入のメリット

RFIDの導入によって、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。物流業界でのRFIDを導入するメリットを3つご紹介します。
- 作業の効率化
- 在庫管理の精度向上
- 所在の可視化
作業の効率化
物流業界でのRFID導入による1つ目のメリットは、作業の効率化です。
従来のバーコードや目視による管理の場合、商品についたラベルを一つ一つ確認していく必要がありました。取り扱う在庫数が多い場合は、検品や棚卸しなどの作業に多大な時間と労力が必要になります。
一方で、RFIDは、非接触かつ一括で読み取りを行うことができるため、箱からモノを取り出したり読み取るバーコードを探す必要がありません。検品などの作業工数を短縮し、スタッフの負担を軽減できます。
また、RFIDの導入によって、業務品質の均一化を実現することも可能です。目視によるピッキングや検品作業は、スタッフの習熟度によって精度や必要な時間が大きく異なります。リソースの少ない現場の場合は、作業の属人化にもつながりやすく、大きな課題となっていました。
RFIDであれば、作業が非常に簡単なため、スタッフの習熟度に関係なく一定の品質で業務を行えます。
在庫管理の精度向上
物流業界でのRFID導入による2つ目のメリットが、在庫管理の精度向上です。
目視による管理では、どれだけ対策を行ったとしても、見落としや見間違い、データの記入ミスといったヒューマンエラーを完全に防ぐことはできません。
RFIDを活用すれば、リーダーをRFIDタグにかざすだけで、正確な情報を収集可能です。
収集した在庫情報はシステム上でデータ管理できるので、在庫の状況をリアルタイムで確認できます。見間違いや記入ミスといったヒューマンエラーの防止につながり、在庫管理の精度向上に貢献します。
所在の可視化
物流業界でのRFID導入による3つ目のメリットは、商品などの所在の可視化です。
RFIDは、システムの活用よって資材の一元管理を行えるため、いつどこに何が入庫・出庫したのかをリアルタイムで把握できます。物流資材の所在に加えて、倉庫から出荷した商品の配送状況を確認することも可能です。
また、商品以外でもパレットや通い箱といった材料輸送用の資材に活用が可能です。これらは使いっぱなしにされたり、未返却のまま放置されたりすることも多く、繁忙期には追加で調達する企業も多いようです。
パレットや通い箱といった資材にRFIDタグを取り付け、リーダーで読み取る環境を整備すれば、所在を簡単に可視化できます。資材を探したり余分に買い足したりする必要がなくなるので、業務の効率化だけではなく、コスト削減にもつながります。
4.RFID導入時のポイント

RFIDは多くのメリットがある反面、導入に際してはRFIDタグやリーダー、データを管理するシステムなどを用意する必要があるため、初期費用がかかります。
導入によってどれくらい業務が効率化し、長期的に見てどの程度のメリットが得られるのかを確認しておくことがポイントです
また、RFIDを使用する場所や環境にも注目しましょう。溶接を行う工場なら高温になる、冷凍品を保管する倉庫なら低温になる、屋外なら雨風の影響を受けるなど、一口に現場といっても、環境は大きく異なります。
場所や環境に応じて、適切なRFIDタグの選定をすることが大切です。
例えば、高温の現場や雨風にさらされる屋外では、紙製のRFIDタグは耐久性が低いため不向きです。
また、金属製の部品や資材には、金属用の特殊タグを選定もしくは金属面から浮かして貼り付けるなどの工夫が必要となります。
RFIDを導入する場合は、事前に対象となる現場環境を確認し適切なタグを選定の上、使用環境で読み取りテストを実施することをおすすめします。
5.RFIDの導入事例
ここからは、RFIDを実際に導入した事例をご紹介します。RFID導入を検討する際に参考にしてください。
出荷を止めない!効率的で柔軟な生産計画を実現

NTN株式会社様は、ドライブシャフトでは世界シェア2位、ハブベアリングではシェア1位を誇る、大手ベアリングメーカーです。
生産品を格納・搬送するためには鉄かごやパレット(リターナブル容器)が必要ですが、さまざまな場所を巡回する容器の所在を把握するのが難しく、生産計画や物流に影響を及ぼしていました。
そこで、同社では容器の管理にRFIDを導入することで数量や所在を可視化し、スムーズな生産計画と出荷体制の構築に成功しました。
生産計画変更や出荷遅延ゼロを実現できただけでなく、製造や物流にかかるコストカットにもつながりました。
【導入前の課題】
- リターナブル容器の所在不明による生産計画への悪影響
- 「リターナブル容器を探す」「製品積み替え」「品番変更」といったイレギュラー業務の発生
- リターナブル容器の追加購入や臨時便輸送によるコストの発生
【導入による効果】
- 生産計画の変更や出荷遅延を抑制
- イレギュラー作業が減り、スムーズな生産計画や出荷の段取りを実現
- リターナブル容器の追加購入や臨時配送などに必要なコストを減少
具体的な事例内容については、以下もご覧ください。
6.物流現場の課題はRFIDで解決しよう
非接触で一括読み取りが行えるRFIDは、作業の効率化、在庫管理の精度向上、所在の可視化など、物流現場における多くの課題を解決できます。
ただし、RFIDタグにはさまざまな種類があるため、導入する際は必ず使用環境で読み取りテストを行ない、適切なRFIDタグを選定することが大切です。読めない場合のリカバリー手段も検討しておくと安心です。
業務の効率化などでお悩みの場合は、RFIDの導入を検討してみてはいかがでしょうか。物流現場へのRFID導入を検討している場合は、サトーまでお気軽にご相談ください。
- テーマ:
- RFID
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