
少子高齢化が進み、労働人口が減りつつある日本において、業務効率化が多くの業界で課題になっています。そこでさまざまな現場で取り入れられているのが工数管理です。
工数管理は、作業にかかる時間を把握することだけが目的ではありません。ここでは、工数管理の重要性やそのメリット、実施時のポイントなどをご紹介します。
目次
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1.工数とは

工数とは、ある作業を終わらせるまでに必要な時間と人数のことです。作業にかかった時間や人数を把握し、管理する業務は工数管理と呼ばれます。
工数管理を行うことで「ある作業に、どのくらい人手と時間(コスト)がかかっているのか」を把握することが可能です。作業にかかったコストを正確に把握することは、営業利益を算出するためにも重要です。
2.工数管理を行うメリット

工数管理を行うと、利益を正確に把握する以外に以下のようなメリットがあります。
- 作業の進捗を把握できる
- コスト削減につながる
- 作業の効率化につながる
ここでは各メリットの内容についてご紹介します。
作業進捗を把握できる
工数管理を行うことで「どの従業員が・どの作業に・どのくらい時間をかけているのか」が可視化できます。これによって作業の進捗が把握できるため、作業スケジュールの管理がしやすくなります。例えば、進捗が著しく遅れている作業に応援人員を追加して作業計画の遅延を防ぐことも可能です。
コスト削減につながる
作業全体の工数や作業者ごとの進捗などが可視化されることで、無駄が多い作業工程の改善や負荷の大きな作業への作業者増員、作業時間の圧縮等による生産性の向上が可能となり、コストの削減につなげられます。
作業の効率化につながる
工数を管理・集計し、データを分析することによって、作業者ごとの生産性を可視化できます。作業者によって熟練度の違いや得手不得手があるため、同じ作業を行った場合でも作業時間や進行スケジュールが大きく異なることがあります。
工数管理を行えば作業効率が良い作業者を把握できます。さらに効率的に作業を行っている作業者の方法を他の人にも共有することで、現場全体の作業効率化につながります。
3.工数管理の方法

工数管理は具体的にどのような方法で行えば良いのでしょうか。
ここでは、基本的な工数管理の方法とポイントを手順ごとにご紹介します。
計画を立てる(工程表の作成)
工数管理は最初に責任者を決定して、その方を中心に「いつ・どこで・誰が・どのくらい・どうやって作業を行うのか」など計画を立てて工程表を作成することが重要です。必要な作業員の人数や作業時間を算出することで、最適な人の配置が可能です。
また、工程表を作成する際は作業者によってスキルが異なる点に留意することもポイントです。責任者が他の作業者それぞれの能力を把握したうえで、熟練者がいる場所に新人を振り分けたり、作業効率が良い作業者がいる場所は少なめの人員で運用するなど、工程表に落とし込む必要があります。
計画を実行する
計画を立てたら、それを実行に移しましょう。工数管理を行い、それを作業効率の改善に活かすためには、精度の高い工数の入力を行うことが重要です。管理の責任者は毎日工数が入力されているか、ズレがないかなどを適宜確認すると良いでしょう。
また、進捗状況に応じて作業者にも進捗やデータなどを共有してフィードバックを行うと作業の進捗状況を現場全体で把握できるようになります。
データを分析する
工数管理を行う際は、収集したデータを分析することも重要なポイントです。
「作業者ごとにどれだけ作業時間に違いがあったか」「どのくらい予定をオーバーしたのか」といったデータを分析することによって、別の作業を行うときの参考にできます。
また、分析したデータを基に作業を効率化してコスト削減につなげることも可能です。
4.工数管理を行う際の注意点

工数管理はデータを正確に把握することが必須です。入力漏れなどによって、データと現実の工数に差異が発生してしまうと工数管理の効果が期待できなくなります。
工数を集計する手段としては、紙に作業記録を残す方法やタイムレコーダーなどを活用する方法などが一般的です。
ただし、紙やタイムレコーダーを使った工数の集計は、作業が終わった作業者が自由に書いたり修正できるため、正確な工数かを把握しにくい点に注意が必要です。
作業を行っていなかった時間も工数として記録したり、作業をしていた時間を記録し忘れたりすることも考えられます。
また、工程単位の細かな工数の記録が困難な点も、紙やタイムレコーダーで工数管理を行うデメリットだといえるでしょう。
5.モノや人の所在管理に役立つ「位置測位技術(RTLS)」

サトーは、モノや人の動きを可視化することにより、生産性を向上させ、現場の課題を解決する位置測位技術(RTLS:Real Time Location System)を活用したソリューションを提供しています。位置測位技術(RTLS)とは、モノや人が「ある時点で・どこにある(いる)のか」を知るために、位置を測定する技術です。
例えば、作業工数の管理にはサトーの「屋内外位置測位技術Quuppa」がおすすめです。
天井などに設置したロケーター(リーダー)と作業者のヘルメットやフォークリフトなどの車体についたタグの配置から、誤差50cm~1m程度※の正確な位置情報を取得できます。また、分析ソフトウェアと組み合わせれば、収集したデータを生産性の向上に活かすことも可能です。
Quuppaを現場に導入すれば「誰が・どこで・どんな作業を・何時間行っているのか」など、作業の進捗状況や工数をリアルタイムで把握できるようになります。
これにより、作業計画の改善や工程の最適化などを実現できる他、正確な営業利益算出につなげることができます。
※設置環境によって異なります
6.位置測位技術(RTLS)を活用した生産性の改善事例

ここからは、サトーの位置測位技術(RTLS)を導入することで工数管理の課題を解決した事例をご紹介します。
現場に負担を一切かけずに生産性の改善に成功
自動車製造業A社様の工数管理は、現場の作業者が作業開始時と終了時にバーコードを利用し作業内容を入力するという方法でした。
しかし入力は作業者任せであったため、入力漏れや入力ミスといったヒューマンエラーが発生し正確な工数を把握できず、生産性の向上に向けた対策を取ることが難しい状況でした。
同社は工場の新設をきっかけに、さらなる改善に向けてサトーの「屋内外位置測位技術Quuppa」の導入を決定。
その結果、人員配置の最適化や作業の自動化、アウトソーシングを進められるようになりました。工数管理にかかる時間がゼロになったことで、本来行うべき生産作業に集中できる環境が整えられ、結果として生産性を向上することができました。
【導入前の課題】
- 作業者任せの工数管理であるため、正確な製造原価を把握できない
- 工数入力に手間と時間がかかっている
- 人材の適正配置や自動化、アウトソーシング対応ができていない
【導入による効果】
- 工数の見える化により正確なコスト管理を実現
- 工数入力にかかる時間をゼロにし、生産に集中できる環境を整備
- 人の適正配置により効率的に生産できる体制を構築
より詳細な事例内容については以下もご確認ください。
7.正確かつリアルタイムに工数を把握することが大切
工数管理を徹底して行うことによって、各作業にどのくらい時間がかかっているのか、作業者がどのような作業をしているのかなどが把握できるようになります。
洗い出したデータを基に改善点を見つけコスト削減や業務効率化を図ることが可能です。Quuppaをはじめとした位置測位技術を活用し、生産性の改善にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
現場の工数管理に課題がある場合にはぜひサトーにご相談ください。
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- 位置測位
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