
情報を管理するための文字や記号などを印字したラベルは、食品や物流など幅広い業界で使われています。しかし、一般的なラベルの場合水濡れや紫外線、高温といった環境要因ですぐに劣化しやすい点には注意が必要です。
そのような要因が多い環境下で使用する際はさまざまな特性を付与した特殊ラベルが最適です。
ここでは、特殊ラベルの素材の違いや使用例などをご紹介します。
目次
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1.特殊ラベルはなぜ必要?

ラベルを貼り付ける対象である原材料や資材、設備などが保管されている場所は、温度が一定の屋内環境だけとは限りません。風雨や紫外線にさらされる屋外、屋内であっても冷凍庫内のような低温環境や熱処理を行う高温環境など過酷な環境での使用も考えられます。
このような環境下では、一般的なラベルでは貼り付けられなかったり、貼り付けできたとしてもすぐに劣化したり、脱落する可能性が高いでしょう。一般的なラベルを使うことが難しい場合は、用途に合わせた特殊ラベルの準備が必要です。
2.特殊ラベルに使われる表面基材の種類

ラベルは一般的に表面基材、粘着剤(糊)、台紙(剥離フィルム)で構成されています。
ラベルの特性に大きく影響するのが表面基材と粘着剤です。
実際に文字や記号が印字される表面基材は、紙とフィルムに大別されます。ここではそれぞれの特徴をご紹介します。
紙系の特徴
ラベルの表面基材の中でも広く使われている材質が紙系です。
印字方式から感熱(サーマル)式のサーマル紙と熱転写式のコート紙や厚紙に大別され、耐水性や耐紫外線性といった機能を付与した特殊紙もあります。
紙系のラベルは、後述のフィルム系と比べると安価に製造できる点がメリットです。
ただし、材質が紙であることから耐性を付与していない場合はフィルム系と比較して水に弱く耐久性の面では劣ります。
また、表面に加工が施されていない普通紙ラベルは、環境によっては印字がかすれたり、ラベルが破れたりすることもあるため注意が必要です。
フィルム系の特徴
ポリエチレンテレフタレート(PET)や合成紙、ポリプロピレンといった素材を使った表面基材で作られているものがフィルム系のラベルです。素材によって耐候性や耐熱性、耐薬品性などを備えており、耐久性に優れさまざまな環境下で使用できます。屋外や長期間の使用にも十分耐えうるでしょう。
そのため、フィルム系のラベルは屋外での使用をはじめさまざまな用途で使用されています。
3.特殊ラベルに使われている粘着剤の種類

特殊ラベルを選ぶ際には、粘着剤の種類も重要なポイントです。
水で濡れやすい、屋外に置かれる、剥がす際に糊が残らないようにする必要があるなど、現場の環境や貼り付け対象物に合わせて粘着剤の種類を決める必要があります。
例えば、粘着力の強い強粘着タイプや一度剥がしたラベルを再び貼ることができる再貼り付けタイプ、一定期間経ったら剥がす再剝離タイプなどが代表的な粘着剤です。
油分が付着した面に貼り付けられたり超低温環境でも使えたりするなど特殊な環境に対応した粘着剤も存在します。
4.代表的な特殊ラベルと利用シーン

さまざまな機能が付与されている特殊ラベルは、どのようなシーンでの利用に適しているのでしょうか。ここでは、特殊ラベルの利用シーンの例と、そこで使われる特殊ラベルの種類をご紹介します。
耐熱ラベル
熱による影響を受けにくい表面基材と粘着剤を組み合わせた特殊ラベルです。高温になる対象物にラベルを貼り付ける必要がある現場で使用されます。
一般的なラベルの場合、熱によってラベルが剥がれたり印字がかすれたりすることが考えられます。しかし、耐熱性を備えたラベルであればはんだ工程がある基板や超高温環境に置かれる鉄鋼業界の工程管理といった対象物や用途においても、ラベルを使用することが可能です。
耐熱ラベルについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
低温ラベル
低温環境でも剥がれない高い粘着性を備えた粘着剤を採用したラベルです。
通常、冷凍庫などの低温環境においては一般的な粘着剤は粘着力が低下します。
常温でラベルを貼り付けたあとに冷凍庫や冷蔵庫へ移す食品や薬品などが対象物の場合、接着剤が固まって剥がれやすくなるのが課題です。
冷凍や冷蔵といった低温環境下に置かれる商品・素材などに低温ラベルを活用すれば、ラベルが剥がれやすくなるのを防ぐことができます。
低温ラベルについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
耐溶剤ラベル
溶剤や薬品に対して耐性を持つ特殊ラベルです。
製造業や医療業界など、さまざまな現場で溶剤や薬品が使われています。
一般的なラベルに溶剤が付着すると、印字が消えたりラベルが剥がれることで、ラベルで管理されていたアイテムの識別が困難になり、現場で混乱が生じる可能性があります。
耐溶剤ラベルを使うことで、溶剤や薬品付着してもラベルの粘着性や印字を保つことができます。これによりラベルを再発行する手間が減り、業務効率の向上が期待できます。
耐溶剤ラベルについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
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耐溶剤ラベルで現場の課題を解決!多様な現場に対応するサトーのラベル
溶剤や薬品が使われる現場で製造する商品や使用する機器にラベルを貼る場合、印字が消えないように耐溶剤性が必要です。本コラムでは、耐溶剤ラベルが必要な用途やサトーの耐溶剤ラベルの種類、導入事例をご紹介しています。
耐候性ラベル
屋外でも劣化しにくい素材で作られた特殊ラベルです。
屋外に長期間設置する設備や機械に貼り付けるラベルは、紫外線や風雨の影響を受けやすいことが課題です。一般的なラベルの場合は、すぐに劣化して印字内容が読み取れなくなってしまうことも考えられます。
そのような環境の現場においては、耐候性ラベルを用意しておくと安心です。
結露耐性ラベル
結露面への貼り付けができる粘着剤と耐水性のある基材を採用した特殊ラベルです。
食品や飲料ボトル、薬品など冷凍庫から冷蔵庫へ移す工程がある対象物にラベルを貼り付ける際、表面の結露がラベルを剝がれやすくするという課題があります。
結露耐性ラベルを使用すれば、対象物に付着した結露を拭き取る作業が不要です。ある程度霜がついた状態でもラベルを貼り付けられるほかその耐水性により破れにくいというメリットもあります。
5.サトーで取り扱っている特殊ラベル

サトーでもさまざまな特殊ラベルを取り扱っています。
代表的な商品は以下の通りです。
- 耐熱性や耐擦過性に優れたケミストラベル
- 上記に加え耐溶剤性を持つスーパーケミスト
- 耐候性に優れたウルトラベル
- 低温環境や粗面、結露面などでも高い粘着性を備えたアクアサーマル など
また、ミシン目やディタック(ラベルの剥がしシロや部分的に糊を付けないことで、剥がしやすくなる)などの印刷加工を行うことでラベルにさまざまな機能を付与することも可能です。
サトーでは、お客さまの個々の要望にお応えし、数百を超える基材から表面基材や粘着剤を組み合わせ、最適なラベルをご提案します。基材開発や製造から出荷までをすべて自社で行っています。
品質管理および品質保証に関する国際規格(ISO9001)や環境マネジメントシステムに関する国際規格(ISO14001)の取得、サトー独自の環境基準の制定など、安心を提供する環境づくりにも取り組んでいます。自社のラベルプリンタとのマッチングテストも行っており常にお客様が安心してお使いになれるラベルをご提供します。
6.特殊ラベルの導入事例

特殊ラベルの効果は、実際の導入事例を参考にすると分かりやすいでしょう。
ここからは、サトーの特殊ラベルを活用した具体的な事例をご紹介します。
ラベルの改良により貼り付け作業の負荷を軽減
株式会社石川工具研磨製作所様では、製品のパッケージに貼り付けたラベルが剥がれてしまうことが課題でした。また、それに伴う貼り換え作業に多くの工数がかかり、生産性の低下が懸念されたため、サトーの特殊ラベルを導入して課題解決に取り組みました。
【導入前の課題】
- L字状にラベルを貼るため、折り曲げ位置が分かりにくく、貼り付け時に多くの工数が発生
- ラベルを貼り付ける容器のフタに凹凸があるため、ラベルが剥がれやすい
- 製品の出荷前にラベルが剥がれることがあり、貼り換え作業が発生
【導入による効果】
- 折り曲げ位置にミシン目と折り線を付け、貼り付け作業の効率が向上
- 粘着性が高い特殊糊を活用しラベルの剥脱防止を実現
- ラベルの貼り換え作業がなくなり、作業者の負担を軽減
具体的な事例内容については、以下もご確認ください。
導入事例
7.環境に即した特殊ラベルの準備が必要
特殊ラベルは、使用する表面基材や粘着剤によってさまざまな特性を付与できます。
使用する環境に応じて必要な機能を備えた特殊ラベルを選択することが重要です。
サトーでは、さまざまな環境や用途に適した特殊ラベルを取り扱っています。
プリンターやラベルに関するお悩みがある際は、お気軽にご相談ください。
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