最近、何かと話題のRFID。導入を検討してから実際の運用に移るまでに、どのようなステップを踏んでいけばいいのでしょうか? 若手社員のマナブくんが、ITソリューションに詳しいベテラン社員サトーさんから学びます。
プロフィール
サトーさん
テクノロジー好きで、ITソリューションに豊富な知識を持っているベテラン社員。社内に新しいIT機器を導入したときは、アドバイスをもらいにくる社員が多くいる。普段、社内のどこにいるかわからない神出鬼没なおじさん。
マナブくん
お調子者でムードメーカーな若手社員。フットワークが軽く、大抵のことはノリと気合いでなんとかできると思っている。機械オンチでよくサトーさんにアドバイスを聞きに行く。サトーさんとは正反対のようで、なぜか馬が合うらしい。
マナブくん
サトーさん、この間はありがとうございました。サトーさんから教えてもらった内容を部長に話してみたら、「マナブはRFID博士だな!」なんてえらく褒められちゃって。サトーさんのおかげですよ!
サトーさん
全く調子のいい奴だなあ。感謝してるんなら、今度昼飯でもおごってよ。
マナブくん
お安い御用ですよ。ボクのイチオシのお店に連れていきますから! だからサトーさん、今日もちょっとお知恵を貸してくれませんか?
サトーさん
どうせ、そんなことだろうと思ったよ!
マナブくん
実は部長が「うちの会社でもRFIDの導入を検討してみようか?」と前向きになっているみたいで。それにあたって、導入までに大体どれくらい時間がかかるのか、知りたいらしいんです。
サトーさん
なるほど。まあ確かに、導入を検討する人が知りたいポイントの一つだろうね。
マナブくん
ボクも個人的に気になります。RFIDはどれくらいの期間で導入できるものなんでしょうか?
サトーさん
一言で言うと、ケースバイケースなんだ。数ヶ月で導入できるケースもあれば、数年単位での準備が必要になるケースもあるからね。
マナブくん
えっ、数年がかりになる場合もあるんですか!?
サトーさん
タグを読み取るRFIDリーダの制御ソフトや、読み取った情報を管理するソフトというような、ソフトウェアから構築する大掛かりな開発が必要な場合は、それくらいの時間がかかるケースもある。一方で1〜2ヶ月で導入できるようなスピーディーなケースもあるので、なかなか一概に「これくらい」とは言えないんだよ。
マナブくん
なるほど〜。でも小規模でも大規模でも、導入までの大まかな工程は似たようなものですよね? どんなステップを経て進んでいくのか教えてくれませんか?
サトーさん
導入までのステップね。それなら確かに教えやすいかな。大まかなステップは以下のようなイメージだ。
ステップ1:現状分析
ステップ2:タグ&リーダの選定
ステップ3:トライアル(実証実験・効果測定)
ステップ4:導入・運用
マナブくん
ステップ1の現状分析は毎度おなじみの「己を知ろう」ということですよね?
サトーさん
その通り。まず自社にどんな課題があって、RFIDを導入することでどのような効果が得られそうか検討するところから。そして導入の前と後で、どのような変化がもたらされるのかをよく考えることが重要だ。例えばRFID導入にかかる金額的なコストが、現状導入しているシステムの運用費より上回ってしまうとする。さあ、マナブくんならどうする?
マナブくん
う〜ん、コストが現状よりかさむなら、導入の意味ナシって考えちゃいますね。
サトーさん
短期的にはそうかもしれない。でもRFIDを導入することで、50人がかりで5日間かかっている作業が、5名の人員で1日で済むようになったら?
マナブくん
人員コストと時間的コストがそれくらい大幅に削減できるなら、長期的に見ると元は取れますね。
サトーさん
そう。現状分析をしっかりやっていないと、目先の金額のことしか目に入らず、トータルでのコスト削減につながることにまで思い至らないかもしれない。的確な現状分析ができていないと、導入後のメリットも的確に把握できない。
口を酸っぱくして言うけど、だからこそ、まず己を知ることが重要なんだ。「なんとなく効果が得られそうだから導入してみよう」とか、「業界大手も導入してるし」なんて、そんな甘い見通しではまずうまくいかないと心得ておいた方がいいね。
マナブくん
「つい、なんとなく」で仕事を進めちゃうボクには耳が痛い言葉です…。
サトーさん
現状分析の後は、ステップ2。RFIDソリューションを提供している会社に相談して、タグやリーダの選定を行う。選び方のポイントは、この前(※第2話参照)説明したね。的確な現状分析ができていれば、自ずと最適なツールも見えてくるだろう。その次のステップ3でいよいよトライアルだ。
マナブくん
実際にRFIDを試してみるわけですね!
サトーさん
そう。ここで大事なのが、トライアルは極力本番に近い環境で行うこと。そうじゃないと本番に近い結果が得られず、いざ導入してから、うまくいかないなんてケースも起こり得る。例えば、本番環境は金属機器がたくさん置いてある工場内なのに、トライアルはきれいなオフィス内で行ってしまうと…。
マナブくん
…トライアルの意味がないですね。でも本番とトライアルを別々の環境でやってしまうなんてこと、あるんですか?
サトーさん
往々にして起こり得る事態なんだよ。例えばトライアル時に工場が工事中で使えなかったとか、繁忙期のライン稼働でトライアルを行う暇もスペースもなかった、とかね。そのあたりも考慮して、導入担当者はスケジュール等うまく調整しながら、本番環境あるいは本番に限りなく近い環境で、トライアルを実施したほうがより良い結果が得られるんだ。
マナブくん
もしボクが担当者に任命されるようなことがあったら、肝に銘じておきます!
サトーさん
そしてトライアル後、効果が見込めそうなことを確認できたら、いよいよ最終ステップ。導入&運用開始だ!運用を開始してから重要なのは、当たり前だけど効果測定のサイクルを回していくこと。思ったより効果が出ていないときは、体制を見直したり、構築し直したり、都度原因を究明して対策を考えよう。
マナブくん
導入後も気を抜いちゃダメってことですね。導入前も後も、考えなきゃいけないことはいろいろあるんだなあ。なんとなく導入すれば、なんとなく効果も出るだろうなんて、安直に考えていたけど反省しました…。
サトーさん
それに気付いただけでも、大きな進歩じゃないか。現場を無視したトップダウン式の導入や、頭で思い描いただけの「机上の空論」での導入は、RFIDにおいてはなかなか結果が伴わないこともあるからね。現場にはイレギュラーな要素や事態が付きもの。的確な現状分析と実地検証をベースにした、「地に足の着いた」導入を行うことがキモだよ。
マナブくん
勉強になりました。サトーさんの話には学びが多いなあ。RFIDの知識も得たし、これからボクも地に足の着いた社会人になることを目指します!
サトーさん
あまり期待はしていないけど、応援してるよ。
今回のポイント
RFIDの導入を成功させるためには、「地に足の着いた」導入が重要! 机上の空論を振りかざさず、的確な現状分析と本番さながらの実地検証を行おう。
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