
製造業や小売業などさまざまな業界・用途でラベルやシールが活用されています。
ラベルやシール(以下、ラベルと表記します)とひと口に言ってもさまざまな種類があり、用途に応じて選ぶことが重要です。
本コラムでは業務用ラベルの種類やそれぞれの特徴をご紹介します。
目次
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1.業務用ラベルの導入で何が解決できる?

「人やモノの情報の見える化」は製造や物流、医療などさまざまな業界で、生産性向上や働きやすさの向上を実現するための重要な要素です。
例えば製造業では、商品の製造時の情報をラベルにひも付け、製品のトレーサビリティを実現することが可能です。物流業界では、荷物の情報をデータにすることで業務の自動化が可能になります。また医療業界では薬や患者、医療機器の情報とラベルをひも付け、患者・医療スタッフ双方により安心・安全な環境づくりに貢献します。
人やモノの情報をひも付ける手段の一つにラベルの活用があります。
ラベルは基材の組み合わせや貼り付け方、加工の工夫次第でさまざまな用途に対応できる柔軟なソリューションです。
2.ラベルの用途

ラベルの用途によって準拠する規格や耐性などの要件が異なります。ここでは、代表的なラベルの用途をご紹介します。
- 銘板ラベル
- PDラベル・SCMラベル
- 食品ラベル・冷凍食品ラベル
- 医療用リストバンド・ラベル
- 偽造防止ラベル(セキュリティラベル)
- クリーンルーム用ラベル
- UL規格対応ラベル
- 透明ラベル
銘板ラベル
機械装置や電子機器、制御盤といった各種装置には、用途や仕様、型番、製造年月日などを表示するために「銘板」が取り付けられます。
銘板には金属製のプレートやラベルが使用されます。ラベルは金属製の銘板に比べてコストや取り付けの手間がかからないことがメリットです。
銘板ラベルの特徴や種類は、以下の記事で詳しくご紹介しています。
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銘板ラベルの基礎知識|種類を知って用途に適したラベルを選ぼう
本コラムでは、銘板の基本的な特徴や銘板ラベルの概要、サトーが提供している銘板ラベルについてご紹介しています。
PDラベル・SCMラベル
PDラベル・SCMラベルはどちらも物流で使用されるラベルです。
PDラベルとは、主に物流センターから各店舗へ送られる荷物を仕分けるために使われる箱やコンテナに貼り付けるラベルのことです。
SCMラベルとは、各企業がオンライン上で物流管理を行えるように、ラベルと梱包された荷物の内容のデータがひも付けされたラベルです。出荷梱包表示やオリコンラベル、検品ラベルなどと呼ばれることもあります。
PDラベルについては、以下で詳しくご紹介しています。
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物流に欠かせないPDラベル(物流標準ラベル)の種類ごとの違い
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SCMラベルについては、以下の記事でご紹介しています。
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食品ラベル・冷凍食品ラベル
食品表示法により、販売される食品には「食品表示」が義務付けられています。
商品ごとのルールやガイドラインの改正に応じて表記内容を追加・変更するにはラベルの活用が有効です。
ただし、食品に貼られるラベルは、被着体に温度変化があったり、複雑な形状をした被着体であったりする場合に、一般的なラベルでは貼り付けにくいことがあります。このため、ラベルの選定には注意が必要です。
食品ラベル全般については、以下をご参照ください。
冷凍食品向けのラベルについては、以下の記事でご紹介しています。
医療用リストバンド・ラベル
医療の現場では、医療安全のためにリストバンドやラベルを活用しています。
リストバンドは患者さんが入院中に常に身に着ける必要があるため、肌触りや耐久性などに優れたものを選ぶことが大切です。
また、医薬品・医療機器や検体サンプルなどを管理するためのラベルも重要です。用途によって溶剤やアルコールなどへのさまざまな耐性が求められます。
リストバンドの詳細については、以下をご参照ください。
ラベルについては、以下をご参照ください。
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医療現場でも活用されるラベル。役割や種類を踏まえて管理に活かそう
本コラムでは医療現場で使われるラベルの持つ役割や種類についてご紹介しています。
偽造防止ラベル(セキュリティラベル)
偽造品の流通は、正規の商品を製造する企業に大きな損失を与えるおそれがあります。
このリスクを防ぐには、偽造防止や開封検知の加工を施したラベルの活用が有効です。商品の偽造を抑止する効果が期待できるだけでなく、万が一偽造された場合も真贋判定が容易になります。
偽造防止ラベルの詳細については、以下をご参照ください。
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商品のセキュリティを高めるには?ラベルの偽造防止加工でブランドを守ろう
本コラムでは、偽造防止の重要性や偽造防止加工の活用例、具体的なラベルの種類などをご紹介します。
クリーンルーム用ラベル
電子機器や食品加工などの製造現場では、異物混入を防止するためにクリーンルームを使用しています。
ここで使用されるラベルには、発塵の恐れが少ないものを用意する必要があります。クリーンルーム用のラベルは、擦ったり揉んだりした場合でもちりが発生しにくいのが特徴です。
クリーンルーム用ラベルの詳細については、以下をご参照ください。
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クリーンルームで求められるラベルの性能。クリーンルーム用ラベルで環境を維持しよう
本コラムでは、クリーンルーム用のラベルの特徴や用途などをご紹介しています。
UL規格対応ラベル
UL規格とは、製品安全性の認証を行う第三者機関であるアメリカのUL社が定めた安全規格です。日本から商品を輸出する場合は信頼性を高めるために認証の取得が推奨されています。
UL認定商品にはUL認証マークを印刷するか、マークを記載したラベルの貼り付けが必要です。
使用するラベルについてもUL規格に対応しているラベルを選ぶ必要があります。
UL規格対応ラベルの詳細については、以下をご参照ください。
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アメリカへの輸出にはUL規格対応のラベルが必須?!覚えておきたい輸出時の注意点
本コラムでは、UL認証の概要やアメリカへ商品を輸出する際の注意点などをご紹介しています。
透明ラベル
パッケージのデザイン性が重視される商品ではラベルも見栄えが重視されます。
透明な基材を使用したラベルを使用することで、デザインの妨げにならずに必要な情報を表示することができます。
透明ラベルの詳細については、以下をご参照ください。
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透明シール(透明ラベル)の特徴と使用する際に注意したいポイント
本コラムでは透明シールの特徴と使用する際に注意したいポイントをご紹介しています。
3.ラベル仕様の検討方法

一般的なラベルは「表面基材」、「粘着剤」、「台紙(剥離紙)」、「印刷加工」、「印字」で構成されています。
豊富にあるラベルの基材や加工方法から最適な仕様を決めるには、用途や運用に照らして要件を整理することが重要です。具体的な検討事項は以下のとおりです。
- 何にラベルを貼るか(被着体(貼り付ける商品)の素材、形状、表面の状態 など)
- どこでどのように貼るか(手貼り/自動貼り)
- 周辺環境の影響(水や溶剤の付着、温度、直射日光、擦れる可能性 など)
- 貼った後の運用(後でラベルを剥がす/剥がさない)
- 何を印字するか(バーコードは必要か、印字レイアウト など)
4.ラベルの耐性

ラベルの仕様選定で特に重要なのが「必要な耐性を備えていること」です。耐熱性、耐水性、耐溶剤性、耐擦過性、耐候性など、ラベルが晒される環境に合わせて基材を選定します。
要求耐性の有無は、貼り付け時の被着体の状態や貼り付け後の商品の保管・使用状況など、ラベルを使用する前後まで確認することが重要です。
ここでは、よく使われる耐性ラベルをご紹介します。
- 耐熱ラベル
- 耐溶剤ラベル
- 耐水ラベル
- その他の耐性ラベル
耐熱ラベル
通常のラベルは高温度帯での使用には適していません。これは、熱でラベルが変色してしまったり、ラベルが剥がれてしまう恐れがあるからです。
耐熱ラベルは耐熱性を備えた特殊粘着剤、表面基材、印字用の表面コート層から構成されているので、高温環境で使用する資材や部品のラベルによる管理が可能になります。
例えば、基板のはんだ工程や鉄鋼業界の製造・管理工程などで広く使用できます。
耐熱ラベルの詳細は、以下をご参照ください。
耐溶剤ラベル
製造や医療の現場では、さまざまな溶剤や薬品が使用されています。
一般的なラベルでは溶剤によって印字が消えたり、粘着力が落ちることがあります。
耐溶剤ラベルがあれば、溶剤の影響に配慮する必要がなく、ラベル再発行の手間やコストを減らすことも期待できます。
耐溶剤ラベルの詳細については、以下をご参照ください。
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耐溶剤ラベルで現場の課題を解決!多様な現場に対応するサトーのラベル
本コラムでは、耐溶剤ラベルが必要な用途やサトーの耐溶剤ラベルの種類、導入事例をご紹介します。
耐水ラベル
冷蔵・冷凍環境での保管を要する商品や水回りで使用する商品に一般のラベルを貼り付けると、水滴によってラベルが剥がれたり破れたり、印字がにじんだりする可能性があります。
その結果、「ラベルが鮮明に読めず詳細が分からない」「ラベルが破損していてユーザーが不快に感じる」などのリスクが生じます。
このような場合は、耐水性を備えたラベルの使用が有効です。
耐水性のあるラベルの詳細については、以下をご参照ください。
その他の耐性ラベル
特殊な環境での使用に適したラベルは他にもあります。
例えば「低温ラベル」は結露面への高い粘着性を備えた粘着剤や、耐水性を備えた表面基材を採用し、低温環境でも高い粘着力を維持する点が特徴です。
紫外線や風雨といった屋外環境でも劣化しにくい素材で作られた「耐候ラベル」も、さまざまなシーンに対応できるため広く利用されています。
特殊ラベルの詳細については、以下をご参照ください。
5.貼り付け前後の運用もポイント

仕様を決める際は、貼り付け前後の運用のしやすさも重要です。
「剥がす際に糊が残らないようにしたい」「ラベルを剥がしやすいように加工を入れたい」など運用や被着体に考慮して、ラベルの粘着力や加工の有無を決めることが重要です。
粘着力
ラベルの粘着力は粘着剤によって異なります。代表的な粘着剤の種類として挙げられるのが、剥がさない用途に使う強粘着、一度剥がしたラベルを再度貼りけられる再貼付、一定期間の経過後に剥がす再剝離などです。
接着剤の種類によって異なる特徴を確認しつつ、用途に応じて選定することが大切です。
ラベルの粘着剤については、以下をご参照ください。
ラベルの加工:ディタック(糊殺し)
ディタックとは、一般的には「糊殺し」と呼ばれ、ラベルの粘着面にニスを塗布したり、フィルムを貼ったりすることによって、一部の粘着力をなくす加工のことです。
小売店のPOPラベルや商品に貼られているアテンションシールなど、必要な部分にだけ糊を残し、その他の部分にほこりなどの付着を防止する用途で使われます。
また、ラベルに剝がし口を作り、貼りやすくなることによる作業性向上の目的でも使用されます。
ディラックの詳細については、以下をご参照ください。
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ディタック(糊殺し・部分糊止め)を行う目的は?メリットと加工方法による違いについて
本コラムでは、ディタックを施す目的やメリットなどについて解説しています。
6.ラベルと併せて用意したい業務用ラベルプリンター

ラベルの有効活用には、ラベルプリンターの選定も重要です。
ラベルプリンターがあれば必要な枚数をその場ですぐに発行できます。また、必要に応じて印字する内容な設定を簡単に変更することが可能です。
ラベルの印字方式は2種類あり、ラベルプリンターも仕様によって対応する印字方式が異なります。
- 感熱方式
- 熱転写方式
感熱方式
感熱方式では感熱用紙(サーマル用紙)を使用します。感熱用紙とは、表面に熱を感知する発色層が塗られている紙で、熱反応で色が変わることを利用して印字を行います。
インクリボンが不要なため、在庫管理や交換の手間が少ないメリットがあります。
感熱方式については、以下で詳しくご紹介しています。
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感熱ラベル(サーマルラベル)の特徴と熱転写ラベルとの違いとは?
本コラムでは、感熱ラベルの概要やサトーで取り扱っている感熱ラベルについてご紹介しています。
熱転写方式
熱転写方式では熱転写用の基材とインクリボンを使用して印字を行います。感熱ラベル方式と比較して耐熱性や耐擦過性、耐候性などに優れた基材が豊富です。
熱転写方式の詳細については、以下の記事でご紹介しています。
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熱転写方式とは?ラベル発行におけるメリット・デメリットをご紹介
本コラムでは、ラベル発行における熱転写方式の特徴や実際の導入事例をご紹介しています。
その他、ラベルのサイズや発行枚数に応じてラベルプリンターを選ぶことがポイントです。
サトーのラベルプリンターの詳細は、以下をご参照ください。
7.サトーの業務用ラベルの導入事例
ここからは、サトーのラベルを活用した具体的な事例を2つご紹介します。
低温や粗面に強い鋼材向け管理ラベルの導入により検品精度の向上を実現

「安全・品質・サービス・技術・コストの追求」をスローガンに掲げて鉄鋼製品づくりを行う太陽サカコー株式会社様では、これまでコート紙と強粘糊を組み合わせたラベルを使っていました。
しかし、低温における粘着力の低下や船上運搬時の風雨による影響などによって、ラベルが剥がれてしまう点が課題でした。
また、月間1,200枚のラベル保護作業を行うことで現場に大きな負担がかかっていました。
そこで同社は、サトーの合成紙と特殊糊を組み合わせた鋼材向け管理ラベルの導入を決断しました。低温や粗面に強いだけでなくラベルを貼り直す手間も減らし、さらなる検品精度の向上を実現しています。
【導入前の課題】
- 鋼材が低温状態の場合、ラベルが貼り付きにくい
- 鋼材の表面が平滑ではないため、ラベルが貼り付きにくい
- 外保管・運搬時に風雨の影響によりラベルの剥脱が頻発
- ラベルの貼り直しや剥脱を防ぐ補強作業による負担が大きい
【導入による効果】
- 粘着性が高い特殊糊で低温時や粗面への貼り付きを改善
- 合成樹脂のラベルで雨水によるラベル剥脱を防止
- ラベル貼り直しなどの工数を減らし検品を充実させたことで、お客さま満足度が向上
具体的な事例内容については、以下もご確認ください。
ラベルの貼り換え作業をなくし作業者の負担を大幅軽減

プロ職人向け切削工具の製作、再研磨を行う工具メーカーである株式会社石川工具研磨製作所様では、製品のラベルがパッケージから剥がれることがあり、ラベル貼り換え作業の手間や剝がれによる製品イメージの低下を懸念されていました。
そこで同社は、ラベル加工の追加や粘着剤の変更によってラベルを改良しました。その結果貼り換え作業がなくなり、作業者の負担を大幅に軽減しました。
【導入前の課題】
- L字状にラベルを貼る必要があり、折り曲げ位置が分かりにくく作業に時間がかかる
- 容器のフタに凹凸があり、ラベルが剥がれやすい
- 製品を出荷する前にラベルが剥がれることがあり、都度貼り換え作業が発生
【導入による効果】
- 折り曲げ位置にミシン目と折り線を付けたことで貼り付け作業が効率化
- 粘着性が高い特殊糊を使用してラベルの剥脱を防止
- ラベルの貼り換え作業自体がなくなり、作業者の負担を軽減
具体的な事例内容については、以下もご確認ください。
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ラベルの改良で貼り付け作業を減らし、“剥がれない安心”を実現
ラベル貼り換え作業がなくなり、作業者の負担が軽減
8.業務に応じて最適なラベルを選定しよう
業務用ラベルには多くの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
例えば環境や被着体に適さないラベルを使用すると、印字が消えたり、ラベルが剥がれたりするリスクが高くなり、かえって効率が低下したり工数の増加につながる可能性があります。
サトーは数百を超える表面基材や粘着剤を組み合わせ、お客さまの課題に合わせた最適なラベルをご提案します。
さらに、品質管理および品質保証に関する国際規格(ISO9001)や環境マネジメントシステムに関する国際規格(ISO14001)の取得、サトー独自の環境基準の制定などを行い、お客さまに高品質の製品を提供するだけでなく、環境に配慮したものづくりを行っています。自社プリンターでのテストも行っており、お客さまが安心してお使いになれるラベルをご提供いたします。
また今回は基材選定を中心にご紹介しましたが、ラベルの運用では印字内容や貼り付け位置の検討も重要です。
ラベルやラベルプリンターの導入をご検討の場合は、サトーへお気軽にご相談ください。
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