「現場力」が競争力の源泉であるサトーグループにとって、価値創造の要は「人(人財)」です。そして「人(人財)」こそ最も大切な経営資産であり、多様な人財、多様な考え、多様なスキル、多様なキャリアを最大限に活かすことが「現場力」の体現と、その土台である「企業理念」の実践につながると考えます。
さらに、私たちを取り巻く環境変化のスピードが飛躍的に高まる中、「現場力」を体現するためには、従業員一人ひとりが自ら考え行動し、変化を起こせる人財(ジリツ人財)になることが不可欠であり、これらを促進する機能が必要となります。
海外向けの取り組み
リーダーシップ・ディベロップメント・プログラム
海外グループ会社の幹部社員への育成を目的としたリーダーシップ・ディベロップメントプログラムを提供しています。

海外グループ会社の現地採用責任者に対してアセスメントを実施し、各自の強み、弱み、伸ばすべき分野を確認しています。またその結果を踏まえて、エクゼクティブコーチングなどを提供し、現地採用責任者の成長をサポートしています。また、海外グループ会社における将来のリーダーとなりうる人財の発掘・育成(サクセッション・プラン)の取り組みとして、将来のリーダー候補の選抜、強み・弱み・伸ばすべき分野を明らかにするアセスメントを実施しました。2024年度もこのアセスメントの結果に基づく、エクゼクティブコーチングやマネジャー研修を実施しています。
中核人財の育成を目的に2024年度に始めたマネジャー研修は2025年度に拡大し、大規模海外拠点と中小の海外拠点におけるマネジャー層を定義。中でも部下のあるマネジャーを、さらに「シニアマネジャー」と「マネジャー」の二階層に分け、それぞれの「Building People」に繋がる研修を設計、実施していきます。
また東アジアにおける中核人財の成長に繋げるため、中国語のマネジャー研修の実施を予定しています。

グローバル全体での学習プラットフォーム
サトーでは、グループ全体で知識やスキル、経験をいつでもどこでも得ることができる学習プラットフォーム(Learning Management system)を提供しています。海外グループ会社および日本国内向けのLearning Management System(以下、LMS)は、2021年に導入しました。社内投票で決定した名前は、Engage(参加する)、Develop(開発する)、Grow(成長する)、Evolve(進化する)の頭文字から、“E.D.G.E(エッジ)”です。まず実際にシステムを使ってさまざまなコンテンツに触れ、スキルを身につけ、ビジネスパーソンとして成長し、より成長した自分へと進化していく——という一連のプロセスを意味しています。
言語の関係で、海外グループ会社向けのLMS(E.D.G.E@Global)と日本国内向けLMS(E.D.G.E@JP)は、異なるプラットフォームを使っていますが、コンテンツの共有は可能であり、社内制作のオリジナルと外部提供のものを含め、それぞれ1,000前後のコンテンツをラインナップしています。
E.D.G.E.の受講実績(2024年度)
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指標 | 単位 | 2024年度 | |
---|---|---|---|
海外 | 国内 | ||
受講者数(延べ人数) | 人数 | 1,901 | 2,136 |
総受講時間 | 時間 | 25,690 | 14,213 |
受講時間(一人当たり) | 時間 | 13.5 | 6.7 |
提供コース数 | - | 1,309 | 1,198 |
特に海外では時差や距離などの制約があり、オンライン教育が育成の柱となっています。表彰する仕組みを設けることで社員の学習意欲を高め履修率をあげる工夫を行っています。

また海外では、このLMSプラットフォームのコンテンツを活用し、販売代理店向けのトレーニングサイトを新設(SATO Dojo)することで、グローバルに強いパートナーシップを構築し、サトーの商品・サービスの認知度を向上させることを推進しています。
国内向けの取り組み
SATO Campusとは
中期経営計画に掲げる人的資本強化と持続的なお客さま価値創造の実現、そして、従業員の働きがい向上のための機能として「SATO Campus(社内大学構想)」を運営しています。ジリツ人財を育成するには、従業員の求める成長ニーズを満たすことも重要です。持続的に個の能力を開発して引き出し、人財育成と企業文化醸成のための仕組みとして2021年4月に設立しました。SATO Campusは、以下の3つをミッションにしています。
- ①「自ら考え行動し、変化を起こせる人財(ジリツ人財)」の育成
- ②企業理念への共感と事業価値への理解の浸透
- ③能力発揮と挑戦する機会の提供
一般的な社内大学と異なり、教育研修に限定せず、異動や配置などの施策を含む総合的な人財開発のプラットフォームです。施策の中心に従業員一人ひとりのキャリア目標を置き、知識・スキルの獲得、および能力発揮と多様な挑戦の機会や、個と個、個と組織をつなぐ場としてさまざまな施策を提供しています。引き続きSATO Campusの施策を充実させていくことで、従業員の創意工夫と主体的な行動を促しています。

キャリア施策
従業員全員が真のプロをめざし成長する環境としての「キャリアラダー※」は、SATO Campusが中心となって整備しています。個人での活用のみならず人財育成の重要なツールにもなります。
また、自身のキャリアや生き方を振り返る場として「キャリアデザイン研修」を実施しています。社会人3年目、10年目、20年目、30年目の年齢層別での実施に加え、2024年度は女性向け及び、キャリア開発の伴走者である上司向け研修も実施し、対象層毎のキャリア形成意識の醸成も図っています。
「人生100年時代」に照らし合わせ、「いつまでも学び続け、いつまでも元気で、いつまでも現役で」を合言葉に、仕事だけでなくプライベートも含めてどのように生きていくのか、一人ひとりが人生観や仕事観をあらためて考える機会を提供しています。
※それぞれの職務内容や必要なスキルを明確にし、はしごをのぼるようにステップを踏むことができるようキャリア向上の道筋を明確にしたもの
キャリア形成支援制度
上記で描いたキャリア目標を実現するために、以下の制度を導入しております。
- 自己申告制度
- 会社に対して、現在の業務及び今後のキャリアの方向性、希望等を申告
- 人財公募制度
- オープンポジションに対して社内から応募者を募り適任者が異動
- キャリア・チャレンジ制度
- 社員自ら能力や経験、希望職種を登録の上、異動を申し出、希望先のニーズとマッチすれば異動
- グローバル・インターンシップ制度
- 海外拠点における短期間の実務研修
階層別研修
新任役職者を対象に、各々の役職に期待される役割を理解し、それを発揮するための知識、スキルを習得するための研修を提供しています。
これにより、従業員が「自ら考え行動し、変化を起こせる人財」になること、またマネジメント層はそのようなメンバーの育成につなげる取り組みをしています。
2024年度実績
実施階層 | 受講人数 |
---|---|
部長層 | 32名 |
課長層 | 138名 |
係長層 | 114名 |
主任層 | 124名 |
2024年度その他の研修実績
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研修名 | 研修内容 | 受講人数 | 研修総時間 |
---|---|---|---|
ライフキャリア10年目 | キャリアに関する考え方を理解した上で、これまでのキャリアを振り返り、今後の目標を設定 | 37 | 278 |
ライフキャリア20年目 | 43 | 323 | |
いっしんセミナー(56歳到達時) | 75 | 788 | |
管理職向けキャリア研修 | 409 | 1,457 | |
女性向けキャリア研修 | 39 | 254 | |
新入社員研修(定期採用) | 入社時のオンボーディング | 41 | 6,560 |
一般採用研修(中途採用) | 102 | 1,530 | |
北上研修(定期採用2年目、3年目) | モノづくり現場の見学を通じて、自身の業務との繋がりを理解 | 43 | 473 |
サトーの歴史研修 | 元取締役が自社の歴史や文化を伝承 | 348 | 696 |
シニアマネジャー/シニアエキスパート研修 | 新任役職者を対象に、各々の役職に期待される役割を理解し、それを発揮するための知識、スキルを習得するための研修 | 32 | 338 |
新任マネジャー/エキスパート研修 | 138 | 1,155 | |
新任シニアリーダー研修 | 114 | 830 | |
新任リーダー研修 | 124 | 896 |
バリューチェーン研修
サトーグループのビジネスの本質および現場業務を的確に理解することを目的として、国内従業員向けにバリューチェーン研修を実施しています。参加者は、現場見学や講習を通じて現場業務を知ることで、サトーグループ特有のキーワード、事業のコンセプト、オペレーションなどを確認し、自部署以外の業務を理解することができます。終了後、全ての仕事が連鎖してお客さまにつながっていることを実感した従業員が、顧客経験価値の最大化を意識するようになり、「創意工夫」への気付きやきっかけとすることで、自分の役割における仕事の質の向上に努めるような意識・行動変容を促進しています。また、現場と各部署の相互コミュニケーションの活性化と経営基盤の強化にもつながります。
バリューチェーン研修の内容


研修受講実績
2024年度 | |
---|---|
研修受講者数(延べ人数) | 215 |
自動認識技術者の育成
サトーのビジネスの根幹である自動認識の理解促進を目的に、一般社団法人 日本自動認識システム協会主催の自動認識技術者資格試験を毎年受験しており、これまでに800名以上の自動認識基本技術者を輩出しています。また、全従業員の自動認識技術のリテラシー向上を目的に、同協会主催の「自動認識の基礎知識セミナー」を毎年開催しています。
英語推進活動
サトーグループでは、事業のグローバル化に備えるために、2012年から英語推進活動を開始し、2013年からは国内全社員がCASECを年1回受検するなどをはじめ、英語学習支援に積極的に取り組んできました。
これまでの「英語学習推進」は、日本国内での英語風土の環境づくりを主とした英語教育システムでしたが、2022年度より、対象範囲を世界(英語非ネイティブ地域)に拡大するとともに、日本籍社員も海外現地法人籍の社員も業務上の必要性の高い社員に優先的に提供するような方針に変更しました。また、英語に限らず、他の言語も含めて、最新のオンライン学習ツールなどを活用し、より効果的な学習機会を提供することで、グローバルでのエンゲージメント・成長・発展・進化を支援しています。
2024年度英語教育受講実績
人数 | 修了率 | |
---|---|---|
オンライン英会話受講者 | 205 | 82.4% |
英語学習アプリ利用者 | 311 | 50.1% |
その他自己啓発施策
上記に加え、従業員のニーズに応じて以下を実施しています。
- 通信教育講座の全額補助
- 通信教育団体の講座を申込み受講期限内に修了条件を満たすことで、講座受講費用を会社が全額補助
自己啓発通信教育講座受講実績
2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
---|---|---|---|
受講者数(人) | 280 | 283 | 319 |
修了者(人) | 199 | 205 | 240 |
修了率 | 71.1% | 72.4% | 75.2% |
- 資格取得推奨
- 国家資格、民間資格などを社内推奨資格として設定し、合格時に資格取得にかかる受験料を会社が補助